平成16年版 情報通信白書

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第1章 特集 「世界に拡がるユビキタスネットワーク社会の構築」

第4節 ユビキタスネットワーク社会の実現と課題

第4節の要旨

 ユビキタスネットワーク社会は、情報通信社会の新たな概念であり、「いつでも、どこでも、何でも、誰でも」ネットワークにつながることにより、様々なサービスが提供され、生活の豊かさの向上や経済の活性化、社会上の問題の軽減等の恩恵がもたらされることが期待されている。他方、ユビキタスネットワーク社会が実現する過程では、産業構造や社会構造に変革が起こるとともに、国民に新たな不安が発生する可能性もある。また、ユビキタスネットワーク社会を実現するためには、ネットワーク技術の開発や端末機器・通信方式の標準化等極めて多岐にわたる研究開発課題が存在する。
 第4節においては、ユビキタスネットワーク社会の実現に向けて、意義、解決すべき課題の現状、世界を先導する我が国が取り組むべき事項について分析する。

【ユビキタスネットワーク社会の姿】
○ ユビキタスネットワーク社会とは、情報のデジタル化とネットワーク化が、より高度に進む情報通信社会である。
○ 先導的な立場にある我が国には、ユビキタスネットワーク社会の構築に取り組むとともに、ユビキタスネットワーク社会のコンセプトを積極的に世界に発信することが期待されている。

【ユビキタスネットワーク社会に向けた課題】
○ 情報通信社会の進展は、情報セキュリティ等のリスクを増大させており、情報通信ネットワークを安心して安全に利用するための情報セキュリティの確保・個人情報の保護が最大の課題となっている。
○ 情報通信分野の過去の検証、今後の課題双方に共通する点として「わかりやすさ・使いやすさ」、「安心さ・安全さ」が挙げられている。ユビキタスネットワーク社会の恩恵を誰もが手軽に安心して享受できるよう、利用者本位の観点で施策・実証実験等が展開されることが重要である。

【個人情報・プライバシーの保護】
○ 個人情報の流出事故が相次ぐ中、国民の過半数が個人情報保護問題に関心を持ち、自らの保有する個人情報が流出することを懸念している。
○ インターネット利用者のうち個人情報保護対策を行っているのは3割弱である。また、企業においても対策を実施していない企業が約4割存在する。

【情報セキュリティの確保】
○ 新種のウイルスが世界各地で流行し、被害が広がっている。33.6%のインターネット利用者が、「ウイルスの発見・感染」の被害に遭っている。
○ 95.1%の企業がウイルス対策ソフトの導入等情報セキュリティ対策を行っているものの、社員の情報リテラシーの向上等運用・体制面での対策が課題となっている。
○ 携帯インターネットの利用者の64.3%が「迷惑メール」の被害に遭っている。

【個人や企業の責任ある行動】
○ 89.3%の人が、情報通信ネットワークやサービスの使い方の向上のために「個人の自覚・責任」が重要としている。

【デジタル・ディバイドとその解消】
○ 属性別にみた平成15年末のインターネット利用率は、利用者の世代、性別、都市規模、年収のすべての属性で上昇している。他方、インターネットの利用・未利用へ及ぼす影響が最も大きいのは世代であり、格差解消が求められている。

【標準化・実証実験への取組】
○ 47.0%の企業が実証実験への参加意向を示しており、今後、多くの企業で実証実験が行われることで、ユビキタスネットワークの実用化が進むと考えられる。

 

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