平成16年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

(2)二国間・多国間での取組

積極的な対話による国際協調と国際理解の推進

1 二国間での主な取組

(1)「成長のための日米経済パートナーシップ」

 2001年6月、米国キャンプデービッドにおいて開催された日米首脳会談において、日米間の対話を通じて持続可能な成長のために協調することを目的として立ち上げられ、次官級経済対話、官民会議、規制改革及び競争政策イニシアティブ等の各種会合の下、毎年多面的に協議を行っている。
 2003年10月には、官民会議のフォローアップ会合を開催した。

(2)「日EU行動計画」

 2001年12月、ブラッセル(ベルギー)において開催された日EU定期首脳協議において、2001年から10年間の協力分野及び内容を具体化した「日EU行動計画」を採択した。また、2002年7月、「日EU行動計画」の着実な実施のフォローアップの場として行動計画運営委員会の設置に合意し、2003年9月には第3回会合を行った。

(3)「日英ICT首脳共同声明」

 2003年7月、英国ブレア首相来日に伴い日英首脳間で「世界をリードするICT国家としての日英の協力」(日英ICT首脳共同声明)が発表され、ユビキタス・ネットワーク社会の実現、電子商取引の発展促進、政府及び教育におけるICTの利用、情報活用のための機会の構築について両国が協力していくこととした。

(4)自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)締結に対する取組

 多国間交渉である世界貿易機関(WTO)の枠組みよりも、二国間での自由化を迅速に実現できるという利点にかんがみ、自由貿易協定(FTA:Free Trade Agreement)/経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)の締結にも積極的に取り組んでいる。既に締結されているシンガポールとのEPAに加えて、現在、メキシコ、韓国、マレーシア、フィリピン及びタイとの間で、WTOルールとの整合性に留意しながら、外資規制の撤廃等を実現する協定の締結交渉を行っている。

2 多国間での主な取組

(1)世界貿易機関(WTO)における新ラウンド交渉

 2001年11月から開始されたWTO(World Trade Organizations)ドーハラウンド交渉(2005年1月1日期限)では、サービス貿易分野で最も重要な分野とされている電気通信分野について、そのより一層の自由化に向け、各加盟国と積極的な協議を展開している。我が国は、電気通信分野については、WTO加盟国の中でも最も自由化の進展している国の1つであることから、諸外国に対しては、一律に課せられている外資規制等の不必要な規制について、緩和要求を行っている。また、単純に規制を緩和するだけでは実質的な自由化が達成されない電気通信分野の特質を踏まえて、支配的事業者規制の在り方、技術革新に伴い登場してきた新たなサービスに関する規制の在り方など、公正かつ有効な競争を実現するため、WTO加盟各国が導入すべき共通の規制の枠組みに関する議論も活発に行っている。

(2)アジア・太平洋電気通信共同体(APT)

 APT(Asia-Pacific Telecommunity)では、2004年7月、バンコク(タイ)において、APT設立25周年を迎えることを記念して、各国の電気通信大臣を集めたアジア・ブロードバンド・サミットを開催し、アジア・太平洋地域内のブロードバンド導入に向けた行動指針を策定する予定である。

(3)経済協力開発機構(OECD)

 OECD (Organisations for Economic Co-operation and Development)では、情報・コンピュータ・通信政策委員会(ICCP: Committee for Information, Computer and Communications Policy)において、作業部会を設け、情報通信分野の検討を行っている(図表)。

 
図表 情報・コンピュータ・通信政策委員会(ICCP)の各作業部会概要

図表 情報・コンピュータ・通信政策委員会(ICCP)の各作業部会概要

 OECDの経済開発検討委員会(EDRC: Economic and Development Review Committee)は、OECD加盟各国等の経済情勢、経済政策全般及び構造調整問題について定期的に国別審査を行い、審査対象国に政策勧告を行っている。2003年度対日経済審査報告書における情報通信に関する記述では、高速のブロードバンドサービスが低廉な料金で提供されている点が特に評価されている。

(4)アジア太平洋経済協力会議(APEC)

 APEC (Asia-Pacific Economic Cooperation)では、電気通信・情報ワーキンググループ(TEL:Telecommunications and Information Working Group)等において、情報通信関連のビジネス円滑化、技術協力、自由化、セキュリティ、人材育成等、情報通信分野に関する各種議論及び情報交換が活発に行われている。
 2002年5月、上海(中華人民共和国)で開催された第5回電気通信・情報産業大臣会合では、「情報通信インフラのセキュリティ声明」等を含む「上海宣言」が採択され、本宣言に基づき、現在TELにおいてその具体化に向けた検討が行われている。
 総務省は、これまで、TELの各分科会議長/副議長等を継続的に担当するとともに、我が国の情報通信政策の紹介、研究開発プロジェクトの提案、アジア・太平洋地域の情報主管庁との意見交換等を通じて、これらの会合に主体的に対応しており、今後もAPECの情報通信関連の取組に積極的に参加している。

(5)主要国首脳会議(G8サミット)

 G8サミットでは、1994年のナポリ・サミット以来、情報通信関連のテーマが毎年取り上げられている。特に2000年7月の九州・沖縄サミットでは、「グローバルな情報社会に関する沖縄憲章」(IT憲章)が採択されるとともに、国際的デジタル・ディバイド解消に向けた関係者間の協力強化のため、「デジタル・オポチュニティ作業部会」(ドット・フォース)が設立された。ドット・フォースは、2001年5月、国際的な情報格差の解消に向けた「ジェノバ行動計画」等を提出した。また、2003年6月のエビアン・サミットで承認された「G8アフリカ行動計画実施報告書」では、世界情報社会サミット(WSIS)を歓迎する旨の記述が盛り込まれた。

 

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