平成16年版 情報通信白書

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第1章 特集 「世界に拡がるユビキタスネットワーク社会の構築」

(5)電子政府・電子自治体の進展

電子政府・電子自治体の一体的な推進

1 電子政府・電子自治体の取組

 政府は、ITを活用した国民の利便性・サービスの向上を図る観点から、各種行政分野における情報のインターネットによる提供、申請・届出等手続のオンライン化を積極的に進めてきた。高度情報通信ネットワーク社会推進本部の下に設置された各府省の情報化統括責任者(CIO:Chief Information Officer)を構成員とする各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議において、平成15年7月に決定された電子政府構築計画においても、利用者本位の行政サービスの提供を目指し、国民が安心して、安全に、24時間365日いつでも必要な情報を容易に入手し、インターネットを通じて充実した行政サービスを受けられるようにすることを基本方針として電子政府を構築していくこととしている。
 このうち行政手続のオンライン化については、平成15年2月、「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律」が施行され、平成15年度末までに政府認証基盤、汎用受付等システムの整備が完了している。平成15年8月に住民基本台帳ネットワークシステムが本格稼動し、平成16年1月にはネットワーク上の本人確認の仕組みである公的個人認証サービスのほか、税や各種行政手数料の電子納付サービスが開始されるなど、オンライン化のための環境はおおむね整備された。また、平成15年度中にすべての地方公共団体が総合行政ネットワーク(LGWAN:Local Government Wide Area Network)に参加した。
 これらの環境を活用し、名古屋国税局管内(岐阜県・静岡県・愛知県・三重県)において国税の電子申告のサービスが順次開始されるなど、平成15年度末には国の行政機関の扱う申請・届出等手続きについてそのほとんどすべてがオンライン化された(図表[1])。

 
図表[1] 行政手続のオンライン化の概要

図表[1] 行政手続のオンライン化の概要

 また、平成15年8月には、電子政府構築計画に基づき、国・地方を通ずる行政情報の総合的・一体的な推進により強力かつ機動的に取り組むため、霞が関WANとLGWANを利用した情報の交換・共有の在り方及び行政ポータルの連携の在り方並びにセキュリティの確保の在り方、ITを活用した業務改革に係る相互の情報提供等について、意見の交換、情報の共有を行う電子行政推進国・地方公共団体協議会が設置された。

2 電子自治体の推進

(1)電子自治体推進指針の策定

 電子自治体の構築にあたっては、電子自治体の構築によって、どのようなサービスがどのような形でいつから提供されるのか具体的な情報提供も求められる。このような観点から、それぞれの地方公共団体においては、電子自治体の構築に関するビジョンや戦略・目的等を明確にするとともに、電子自治体の構築に関するステップ(年次計画)や行政手続のオンライン化スケジュール等具体的なアクションプランを提示することが望ましいと考えられる。
 総務省では、地方公共団体が地域の実情やその規模・能力の差異等を踏まえながら、それぞれの目標とする電子自治体の実現に向けて主体的かつ積極的に取り組むための参考として、平成15年8月、「IT革命に対応した地方公共団体における情報化施策等の推進に関する指針」(平成12年8月)、「電子政府・電子自治体推進プログラム」(平成13年10月)を改定し、「電子自治体推進指針」を公表した(図表[2])。

 
図表[2] 電子自治体推進指針の概要

図表[2] 電子自治体推進指針の概要

(2)電子自治体への進捗状況

 地方公共団体の電子自治体構築に向けて、複数の電子申請・届出等手続きに利用することのできる汎用受付システムの導入状況については、平成16年1月現在、都道府県では9団体(19.0%)が既に導入しており、今後、平成17年度末までに44団体(94.0%)が導入を予定している(図表[3])。

 
図表[3]都道府県における電子自治体の推進状況

図表[3]都道府県における電子自治体の推進状況
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 また、地方公共団体は、教育、行政、福祉、医療、防災等の高度化を実現するため、学校、図書館、公民館、市役所等を高速・超高速で接続し、電子自治体の基盤となる地域公共ネットワークの整備を進めている。「地域公共ネットワーク整備計画の取りまとめ」(平成15年7月)によると、55.4%の地方公共団体がネットワークを整備しており、また、28.0%の地方公共団体は整備計画を策定済みで、今後平成17年度までにネットワークを整備する予定である。一方、16.6%の地方公共団体は、整備計画を策定していない(資料1-4-4参照)。

(3)情報セキュリティ対策と個人情報保護の徹底

 ネットワーク化された情報システムは利便性を向上させる一方、ハッカーやコンピュータウイルス等を介した不正行為によるネットワークへの侵入、情報の改ざん・破壊・漏えい等の懸念が現実のものとなっており、その危険性は旧来の情報システムとは比べものにならないほど高くなっている。
 特に、全国の地方公共団体がネットワーク化されることにより、一部の団体における情報システムの脆弱性が全体の情報セキュリティの水準に影響を及ぼすことが考えられ、すべての地方公共団体において十分な情報セキュリティ対策と個人情報保護の徹底が必要となっている。平成16年4月現在、情報セキュリティポリシーは都道府県で46団体(97.9%)、市町村で2,325団体(74.4%)が策定し、個人情報保護条例はすべての都道府県と、市町村で2,561団体(82.0%)が制定している(図表[4])。情報セキュリティ対策と個人情報保護の徹底は電子自治体の構築に当たって各団体が最も優先して取り組むべき最重要課題であることから、総務省では、今後とも電子自治体推進指針等に基づき、地方公共団体の情報セキュリティ対策と個人情報保護の徹底を促すこととしている。

 
図表[4] 地方公共団体における情報セキュリティポリシー・個人情報保護条例の策定・制定状況

図表[4] 地方公共団体における情報セキュリティポリシー・個人情報保護条例の策定・制定状況
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関連ページ:行政・公共分野の情報化については、3-5参照

 

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