平成16年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

第8節 研究開発の推進

1 情報通信分野の研究開発政策の展開

(1)研究開発の推進による国際競争力の強化

研究開発成果の産業化の推進

 我が国が持続的に経済発展を遂げ、国民が安心して安全な生活を送るためには、科学技術の重点分野に積極的・戦略的に投資を行い、研究開発の推進により、産業の競争力を維持・発展する必要がある。このような観点から、第二期科学技術基本計画(平成13年3月閣議決定)では、情報通信分野を含む4分野に特に重点を置き、優先的に研究開発資源を配分することとされた。また、総合科学技術会議では、平成13年9月に、平成17年度(2005年度)までの当該分野の現状・重点領域・当該領域における研究開発の目標及び推進方策を明確化した分野別推進戦略を取りまとめた。
 総務省では、これら政府全体の方針も踏まえつつ、研究開発基本戦略の具体化と「研究開発基本計画(第3版)」の改訂等を目的として、情報通信審議会に「情報通信分野における技術競争力の強化に向けた研究開発・標準化戦略について」諮問を行い、平成15年3月に答申がなされた。同答申では、我が国の厳しい経済状況や情報通信技術の高度化の下で国民や研究者が置かれた状況を踏まえ、「ユーザー(国民)が利用して満足できること」、「作り手(技術者・研究者)がやり甲斐を感じられること」、この両者の密接な関係を通して「産業活性化を通じ国が発展すること」を3つの基本認識とし、我が国の発展や豊かな国民生活を目指した研究開発への取組の提言を行っている。そして、研究開発成果を産業化に結びつけること、研究開発にユーザーや作り手の視点を取り入れること、研究開発成果を広く普及させるための研究開発と標準化を一体的に推進すること等を基本的な考え方として、取り組むべき研究開発課題や方策が「研究開発基本計画(第4版)」、「研究開発実施戦略」、「標準化戦略」として取りまとめられた(図表)。総務省においては、これらを踏まえ、情報通信分野の研究開発を推進し、その成果を産業化に結びつけることにより、我が国の国際競争力の強化を図っていくこととしている。

 
図表 「情報通信分野における技術競争力の強化に向けた研究開発・標準化戦略について」答申の概要

図表 「情報通信分野における技術競争力の強化に向けた研究開発・標準化戦略について」答申の概要

 また、研究開発を効果的・効率的に推進するためには、予算・人材等の資源配分を適切に行うことが必要であり、研究評価はこれらを実現するために非常に重要な役割を果たしている。研究評価については、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」に基づき決定された「政策評価に関する基本方針」(平成13年12月閣議決定)の中で、研究開発を対象とする政策評価の実施にあたっては、同法、同基本方針及び「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成13年11月内閣総理大臣決定)を踏まえて行うものとされている。総務省では、これを踏まえて「総務省情報通信研究評価実施指針」を制定して、研究評価に取り組んでいる。これら研究評価は、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」に基づく事前評価や事後評価に活用されている。
 なお、平成16年4月の独立行政法人情報通信研究機構の発足や、近年、研究開発において標準化及び知的財産戦略への対応が一層重要視されるようになったこと等を踏まえ、平成16年4月に「総務省情報通信研究評価実施指針」を改定した。

関連ページ:情報通信分野の研究開発については、2-8-1参照

 

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