昭和59年版 通信白書

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第2部 各  論

第1章 郵  便

 第1節 概  況

 昭和58年度は,電気通信メディアの発展,民間宅配業の伸長等郵便事業を取り巻く厳しい社会経済環境の中で,各種サービスの改善により需要の拡大を図る一方,事業運営の効率化・合理化を推進して,競争に耐え得る事業体質を作ることを事業運営の指針として種々の施策に取り組んできたところである。
 まず,郵便物数の動向についてみると,58年度における総引受物数は162億5千万通(個)で,料金改定前の水準(55年度の157億9千万通(個))を3年ぶりに上回った。58年度の郵便物数は対前年度比4.9%増と比較的高めの伸びを示した。その背景には統一地方選挙及び衆参両院議員選挙の実施に伴う選挙関係郵便物の差出しの増加によるところが少なくないものと考えられる。ただ,小包郵便物についてみた場合,引受個数は1億3千万個で前年度に比べて4.2%の減少となっており,各種のサービス改善や積極的な営業活動の推進等から減少率は前年度(11.2%の減少)に比べかなり低下しているものの,依然として減少傾向にある。
 つぎに事業財政は,58年度338億円の利益が生じた結果,56年度,57年度に引き続いて好転し,58年度末における累積欠損金は201億円にまで減少した。しかしながら,ここ数年支出の伸び率が収入の伸び率を上回る傾向にあり,楽観できない財政状況にある。
 郵便の業務運行については,業務運行基盤の確立,郵便輸送システムの改善等を図り,正常運行の確保に努めた結果,おおむね順調に推移した。また,年間を通じての最大の繁忙期である年末年始においても衆議院議員総選挙の実施による選挙関係郵便物の大量の出回り,一部地域における雪害の発生等の影響が若干生じたものの,総体としては,年賀郵便物,一般郵便物ともに順調な送達を確保し,元日には22億2千万通の年賀郵便物を配達した。
 58年度においては,58年10月から第一種定形外郵便物の航空機搭載の実施とあわせ,速達小包郵便物の航空機搭載を全国的に拡充実施するとともに,59年2月から郵便輸送システムを改善し効率的な郵便処理体制により,全種別郵便物の自府県内翌日配達体制,隣接府県等についても,可能な限りの翌日配達体制を全国的に確立するなど郵便物の大幅なスピードアップを図り,昨今の利用者のスピード志向にこたえることとなった。このほか,小包郵便料金の重量による区分の簡素化,小包包装用品「ゆうパック」の発売,けい線入り葉書の発行等の各種施.策を実施し,サービスの向上と郵便利用の一層の簡便化を図って需要拡大に努めたところである。さらに,59年度に入っても小型(葉書や第一種定形)郵便物における表面記載事項の制限緩和(4月)や「普通小包郵便物ラベル」の試行(5月)等利用者ニーズに,より適合するための新しいサービス改善施策を開始し,需要の拡大に取り組んでいるところである。
 

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