昭和59年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

2 光ファイバケーブル伝送方式

 光ファイバケーブル伝送方式は,光ファイバを伝送媒体とするもので,[1]同軸ケーブルと同等あるいはそれ以上の容量の伝送ができる,[2]光ファイバの直径が細いので多心ケーブルな細径で実現できる,[3]低損失であるため中継距離が長くできる,[4]漏話が無視できる,[5]軽量で可とう性に優れている,[6]電力線,電気鉄道等からの外部誘導を受けない,[7]限りある銅資源を使用する必要がないことなど多くの特長を有している。このため,各方面で光ファイバ,光源である各種レーザ,発光ダイオード,受光器,中継器,変調器等の研究,実用化が進められている。
 電電公社においては,量産化,経済化に適した製造法である気相軸付け法(VAD法)の開発をはじめ,1.3μm波長帯における極低損失(0.5dB/km以下)の多モードファイバ及び1.5μm帯における損失が,0.2dB/kmの単一モードファイバの試作,平均損失0.1dB以下の新しい融着接続技術の開発,800Mb/sディジタル伝送実験の成功,1.3μm帯半導体レーザの実用化等の成果を上げている。このような成果を踏まえ,中小容量光ファイバ伝送方式については,グレーデッド型光ファイバケーブルにより都市内の電話局間を結ぶ32Mb/sの伝送方式及び100Mb/sの伝送方式が実用化され,さらに59年度には6.3Mb/sの波長多重技術を用いた伝送方式が実用化された。
 また,今後の基幹伝送路として,大容量,長距離区間に適用する大容量光ファイバケーブル伝送方式について,単一モード光ファイバケーブルを用いた400Mb/sの伝送方式が実用化され,北海道から九州に至る日本縦貫のディジタル伝送路の構築を開始し,59年度末には完成の見込みである。
 一方,陸上用の光ファイバケーブル伝送方式の開発と並行して,海底光ファイバケーブル伝送方式の開発も進められており,1.3μmの長波長帯の光源を用い,1.5〜400Mb/sのディジタル信号を無中継で伝送可能な方式及び400Mb/sのディジタル信号を海底区間で中継伝送する方式の実用化が進められている。
 また,映像信号(4MHzカラーテレビジョン信号)を伝送する光ファイバケーブル伝送方式の開発が進められ,57年度に実用化された。
 このほか,光ファイバケーブル伝送方式を加入者系へ適用するための研究が進められている。
 国際電電においては,将来の国際通信用幹線伝送路へ適用するため,方式長8千km,伝送速度280Mb/s,伝送容量最大1万2千回線の大洋横断可能な長距離光海底ケーブル方式の開発が進められている。
 この方式に関して,57年6月には第1次海洋実験を実施し,59年2月には水深7千mの深海域で海洋実験を行い,実用化の見通しが得られた。
 これら海洋実験と並行して高信頼度システム実現のため,光部品等の信頼度評価を開始している。

 

第2部第7章第5節1 ディジタル伝送方式 に戻る 3 ディジタル交換 に進む