昭和59年版 通信白書

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4 通信用電源技術

 電気通信ネットワークのディジタル化の進展に対応して,より高品質で信頼性の高い電力が必要とされるとともに,省資源・省エネルギーの見地から通信用電源システムの変換効率の向上,小型・軽量化も強く要望されている。これらの要求を満たすため,直流供給方式については,ブースタコンバータを用いることにより電源品質,増設性の改善を図るとともに,配線方式について検討を加え,今後のディジタル化の進展に対応可能な新しい48V直流供給方式の実用化が行われた。
 また,ディジタル交換機用コンバータについては,変換周波数の高周波化(200kHz),制御回路のIC化等の技術を適用したパッケージ形コンバータの本格導入が進められた。
 高品質の無停電電源を供給する交流供給方式については,省エネルギーの観点から,小容量領域の瞬断許容形インバータの待期方式としてコールド・スタンバイ化が図られた。また,インバータの経済化,効率向上,小型化を図るため,中小容量インバータにおいてサイリスタに代わり大容量トランジスタが主素子として全面的に採用された。さらに,大容量インバータへのGTOサイリスタや大容量トランジスタ等の新素子の適用について検討が進められた。
 また,商用電源の得難い地域において,経済的で安定な通信用電源を得るため,既に開発されている太陽電池式電源装置に加えて,風力エネルギーを利用したダリウス形風力発電装置の導入が図られ,現在商用試験中である。 その他,災害時における通信用電源確保対策として,小型でヘリコプタによる輸送が可能な可搬形ガスタービン発電装置の導入が行われた。
 さらに,複雑化・高度化する重要な通信用電源システムを良好に維持するため,その保守作業を効率的に支援する新しい技術も求められている。これにこたえるため,無人局舎の電力システムを遠隔で監視するための電力遠隔集中監視システムの導入が行われた。また,ディーゼル機関発電装置の定期試験作業の省力化及び信頼性の向上を目的として,自動試験運転機能や自己診断機能を付与した新しいディーゼル機関発電装置の導入が図られた。

 

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