昭和59年版 通信白書

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15 マイクロ波リモートセンシング

 電波によるリモートセンシングは,従来,主に用いられてきた可視赤外領域の光を利用するものと異なり,昼夜の区別なく,天候に影響されることなく観測が可能である。特に,マイクロ波によるリモートセンシングは今後,電波の主要な利用分野の一つになると予想されるため,電波研究所では,電波 の有効利用の観点から,各種マイクロ波センサに関する研究を行っている。
[1] 散乱計:降雨強度分布の観測を行う航空機搭載マイクロ波(10GHz及び34.5GHz)雨域散乱計を53,54年度で製作し,58年度末までに約115時間の飛行実験を行った。57,58年度の梅雨期には鹿島支所のレーダーと共同で4周波による降雨観測実験を行った。日本海豪雪のメカニズムを究明するプロジェクトに参加し,帯状収束雲の下に発達する降雨分布の観測に成功した。
電波の散乱特性等の基礎データを取得するための室内実験用FM-CWレーダーシステム(10GHz帯)を整備し,氷等の測定を行った。また,宇宙基地からの降雨レーダー観測の概念を検討した。
[2] 放射計:MOS-1搭載用マイクロ波放射計のBBMによって取得した観測データに,先に開発した解析アルゴリズムを適用して水蒸気量及び雲中水量を導出し,バルーンによる測定値との比較研究を宇宙開発事業団と共同で行った。
[3] 合成開ロレーダ:SARデータの高速ディジタル処理システムの整備を完了し,SEASAT-SARの画像解析から分解能が約25mであることを確認した。59年度に予定されているSIR-B実験への3項目の提案がNASAにより正式に採用され,実験実施に向けて準備を進めている。

 

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