昭和59年版 通信白書

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5 26GHz帯加入者無線方式

 近年,社会生活の高度化・多様化に伴い,映像伝送,高速データ伝送等に対するニーズが高まっている。これらのサービスを,経済的かつ迅速に実現する方法として,郵政省は,26GHz帯の周波数を使用する加入者無線方式の導入を行った(第2-7-6図参照)。
 本方式は,テレビ会議等の映像伝送に用いるアナログ方式と高速データ伝送,高速ファクシミリ伝送等に用いるディジタル方式とがある。
 アナログ方式は,一つの電波を1加入者が使用する SCPC方式であるのに対し,ディジタル方式では,多数の加入者が一つの電波を共用し,各種速度のディジタル信号を効率よく伝送するために,TDMA方式を採用している。
 本方式は,無線装置の小型化,経済化を図るため,MIC(マイクロ波集積回路)技術を適用し,従来の導波管回路と比較して約1/40の大きさとしており,また,量産性,信頼性の向上及び製造期間の短縮を図っている。
 また,基地局には,サービスエリア内のいずれの方向の加入者に対しても,均等な電界強度を確保するため,90度の範囲で無指向性を有する扇形ビームアンテナを4面使用している。
 準ミリ波帯での加入者無線方式では,降雨による伝搬損失を考慮する必要があるほか,基地局と加入者間に見通しがあることが前提となる。
 加入者側のアンテナは,屋内又は屋上に設置されるが,途中のビル等により伝搬路がしゃへいされることがあり,見通し率は基地局から離れるに従って急速に減少する。
 特に,高層ビルが密集する東京,大阪の中心部では,所要受信電力の条件よりも見通し率によりサービスエリアが制限されることが予想されることから,複数の基地局を設置し,無線ゾーンを重複させることにより,実効的に見通し率の改善を図ることとしている。
 本方式の導入は,加入者への伝送路を迅速かつ簡易に設定することを可能とするものであり,テレビ会議サービスや高速ディジタル伝送サービスの普及発展に大きく寄与するものと考えられる。

第2-7-6図 26GHz帯の周波数を使用する加入者無線方式(ディジタル方式)の概要

 

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