昭和59年版 通信白書

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4 宇宙通信の実用化の促進

我が国の宇宙通信は,第2-7-4表のように58年2月及び8月のCS-2の打上げ並びに59年1月のBS-2の打上げを契機とし,基礎固めを重点とした段階から実利用の段焙に至っており,具体的利用の展開及び実用衛星の開発等が進められている(総論第2章第2節参照)。

(1) 通信衛星2号(CS-2)

 CS-2は,我が国初の実用通信衛星であり,58年2月にはCS-2aが,58年8月にはCS-2b)が打ち上げられた。CS-2は,CSの開発成果を活用して開発された衛星であり,58年5月以降電電公社,国鉄,各電力会社及び国の機関(警察庁,建設省,郵政省及び消防庁)により,離島通信,災害対策用通信,臨時通信等に利用されている。

(2) 放送衛星2号(BS-2)

 BS-2は,我が国が世界に先駆けて実用放送衛星として開発したものであり,59年1月にBS-2aが打ち上げられた。その後,BS-2aは,中継器の一部に異常が生じたが,NHKは5月から,当面中継器1系統を用い試験放送として運用を開始した。
 なお,BS-2は,基本的には,BSと同規模,同性能の衛星であるが,BSの開発成果を活用するとともに,N-IIロケットに適合させること,寿命は5年を目標とすること,WARCにおいて決定された技術基準に適合させることなど所要の改修を行いながら開発された衛星であり,60年度にはBS-21)が打ち上げられる予定である。

(3) 通信衛星3号(CS-3)

 CS-2に続く次世代の通信衛星として,宇宙開発計画(58年3月16日決定)において,58年度にCS-3の開発に着手することが決定された。これにより57年度に行った予備設計を基に,衛星及びロケットの開発が進められている。なお,CS-3は約550kgの静止衛星であり,62年度及び63年度に国産のH-Iロケットにより打ち上げられる予定である。

(4) 放送衛星3号(BS-3)

 BS-2に続く次世代の放送衛星として,宇宙開発計画(59年3月14日決定)において,59年度にBS-3の開発に着手することが決定された。これにより58年度に行った予備設計を基に,衛星及びロケットの開発が進められることになっている。なお,BS-3は約550kgの静止衛星であり,63年度及び65年度に国産のH-Iロケットにより打ち上げられる予定である。

(5) 通信・放送衛星機構

 通信衛星,放送衛星の管理・運用等を行う通信・放送衛星機構は,CS-2aの管制(58年5月開始)に引続き,58年度に打ち上げられたCS-2b,BS-2aの管制をそれぞれ58年11月,59年4月から開始している。

(6) 衛星利用パイロット計画

 CS-3以降における将来の衛星通信の実利用の推進に向け,郵政省は,衛星利用に関心を有する者にCS-2を使用して衛星通信に関する運用実験を行う機会を提供し,衛星通信の利用動向,技術動向の把握等を目的とする「衛星利用パイロット計画」を58年度から62年度までの予定で進めている。
同計画の推進に当たっては,学識経験者,利用関係者等からなる「衛星利用パイロット計画に関する調査研究会」を開催し,必要事項を審議することとしており,同研究会が定めた実験項目等に従い,58年度後半から運用実験が行われている。具体的な実験項目は,[1]コンピュータネットワーク実験,[2]新聞紙面等伝送実験,[3]CATVへの番組伝送実験等である。

 

第2-7-4表 CS-2及びBS-2の開発スケジュール

 

 

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