昭和59年版 通信白書

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4 映像通信

(1) 画像応答システム(VRS)
 画像応答システム(VRS)は,プッシュホン又はキーボードから画像センタを呼び出し,広帯域ケーブルを介してセンタに蓄積されている各種情報を音声付カラー静止画又は動画でテレビジョン受像機に映し出す画像情報システムである。48年から電電公社で開発が進められており,都内の展示センタ,営業所等を対象に実験サービスが実施されている。
(2) テレビ電話
 テレビ電話は,電気通信の未来像の一つとして期待され,以前から世界各国が開発に力を入れてきた。我が国でも45年以降モニタテスト等を実施してきたが,従来のアナログ技術に基づいた方式では,テレビ電話の効用に比べサービス実現に要するコストが高く,現在のところ普及の傾向にない。しかし,現段階での普及は難しいとしてもテレビ電話が電気通信の未来像であることに変わりなく,各種機能の充実,経済化等システム全般にわたる技術開発,検討が継続して進められている。
(3) テレビ会議
 テレビ会議は,遠隔地で臨場感をもって会議が行えるものであり,交通の代替,省エネルギーに貢献するものとして,その実用性は高いと考えられる。我が国では,電電公社により51年5月から57年1月まで行われたモニタテストにおける利用者の意向等を取り入れ,利用者宅内の会議室等に容易に設置でき,かつ,伝送路を多端末で共用するなど,システム全体として経済化を図った新しいテレビ会議方式の開発が進められ,59年3月から東京,名古屋,大阪,神戸地域においてサービスが開始された。
 国際電電においては,59年3月にビデオコンファレンスモデルシステム(オーディオグラフィックコンファレンス機能を含む。)が開発され,現在同システムの評価テストが行われている。また,郵政省,電電公社の後援により,59年4月に,日本(東京),米国(フィラデルフィア),カナダ(トロント),英国(ロンドン)及びオーストラリア (シドニー)の5か国を結んだビデオコンファレンスによる国際テレコンファレンスシンポジウムが開催され,国際間ビデオコンファレンスの実用性を確認している。
(4) テレライティング
 テレライティングは,電話回線を用い,通話しながら同時に手書きの任意の文字・図形を伝送する新しい通信サービスである(第2―7―10図参照)。
 テレライティング装置は,ファクシミリ,テレテックスに比べ,その操作が容易であること,装置の構成が簡易であり低価格化が期待できること,伝送路として加入電話回線が考えられることから事業所のみならず家庭でも広く利用されるものと期待される。
 我が国では,行政用オーディオグラフィー(郵政省),スケッチホン(電電公社),レターホン(国際電電)等が発表されており,当面専用線への適用が検討されている。
 海外ではテレボードシステム(フランス),スクリボホン(オランダ)等が発表されている。
 テレライティングの標準化は,CCITTにおいて今会期(1981-1984年)から検討が進められており,我が国ではCCITTの動向を踏まえつつ標準化の検討を進めていくこととしている。
(5) 高能率伝送技術
 映像信号の高能率伝送技術については電電公社において,4MHz帯域のカラーテレビジョン信号をディジタル信号に変換して高能率に伝送する6.3Mb/sフレーム間符号化装置(VC-6M)及び32Mb/sフレーム内符号化装置(VC-32M)が実用化され,既にVC-6Mはテレビ会議システムに,また,VC―32Mは一般の映像伝送サービスの市外区間に適用されている。現在,さらにこれら装置の LSI化による経済化,品質の向上を目指した検討が行われているが,他方,一層の高能率帯域圧縮を行う1.5Mb/sフレーム間符号化装置についても開発が進められている。
 国際電電においては,インテルサット衛星の中継器(帯域幅36MHz)を介して,最大4回線のテレビ番組の伝送を可能とする15Mbps/30Mbpsユニバーサル符号化装置が開発された。本装置は,CCIR勧告に従ったものであり,すべてのテレビ信号方式(NTSC,PAL,SECAM)に適応可能である。58年9月には,第6回ディジタル衛星通信国際会議の会場において本装置を用いて,国際(米国フェニックスと英国ロンドン間)のテレコンファレンスデモンストレーションが行われた。

第2-7-10図 テレライティングの概念図

 

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