平成12年版 通信白書

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第1章 特集 ITがひらく21世紀

5 北欧のモバイル通信事情

モバイル通信が基幹的な通信メディアとして、生活の一部に定着

 北欧諸国(フィンランド、アイスランド、ノールウェー、スウェーデン及びデンマーク)は、モバイル通信の対人口普及率が高く(1-1-3参照)、中でもフィンランド及びスウェーデンは、世界有数のモバイル端末メーカー(フィンランド:ノキア(Nokia)、スウェーデン:エリクソン(Ericsson))を擁し、モバイル通信が基幹的な通信メディアとしての地位を確立しているモバイル先進国である。
1)フィンランド
 年代別の携帯電話保有率をみると、20代前半をピークに年代が上がるに連れて保有率は低下するが、70歳以上でも38%の保有率となっている(図表1))。プリペイドサービスの開始で、子供へのプレゼントに携帯電話を贈ることが流行するなど、低年齢層にも普及が進んでいる。
 フィンランドにおいては、携帯電話のインセンティブ販売が法律で禁じられているため、端末は高価であるが、一方で月額使用料(基本料金)は固定電話よりも安く、携帯電話の加入者数が固定電話の加入者数を上回っている。月額使用料金が安いため、利用者、特にビジネスマンには、用途に応じて複数回線契約する例が多く、電子メールのチェックにはスマートフォン、ノートパソコンを使ったモバイルコンピューティングにはPCカード型モデム、音声通話には小型軽量タイプ、といった使い方がみられる。
2)スウェーデン
 年代別の携帯電話保有率をみると、30代前半をピークに50歳代までが70%前後の保有率となっている(図表2))。福祉国家として有名なスウェーデンにおいては、高い所得税率により、一定以上の給与水準に達すると給与の増加分のほとんどが所得税となる。そのため、企業が社員にフリンジベネフィット(福利厚生)の一環として携帯電話を貸与し、自由に使用させる実態にあり、壮年層の保有率が高い要因となっている。また、スウェーデンでは、携帯電話の販売(レンタル)店の開設、複数(3)事業者による競合、及び販売店へのインセンティブ付与による端末価格値下げが、世界で初めて行われた。
 1999年9月現在で、約490万の加入契約のうち約150万契約がプリペイドサービスである。プリペイドサービスの料金は、通常の携帯電話の通話料金と同じで、毎月の利用量が調整できるため、これを選択する利用者が多いといわれている。
3)北欧特有の利用形態
 高いモバイル普及率を誇る北欧諸国においては、モバイル通信が生活の一部として定着している。Pay-by-GSMは、携帯電話を使って、自動販売機の清涼飲料水を購入したり、自動車に乗ったまま洗車や駐車場料金の支払いができるサービスである。また、ショートメッセージ(文字通信)サービスは、その同報機能が学校の部活動等における連絡事項伝達の手段として活用されているほか、テレビのトーク番組において視聴者の意見を受け付ける場合にも、視聴者が送信したショートメッセージの通信文が、そのままスタジオの電光掲示板に表示され、放送されるなど、至る所で幅広く活用されている。

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日本エリクソン資料により作成
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