平成12年版 通信白書

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第2章 情報通信の現況

4 海外の地上デジタル放送

英国、米国に続き、スウェーデンでも放送開始

 世界各国において地上放送のデジタル化が検討されており、英国、米国及びスウェーデンにおいては、既に地上デジタルテレビジョン放送が開始されるなど、全放送メディアのデジタル化は世界の潮流となっている(図表1))。英国、米国及びスウェーデンにおける地上デジタルテレビジョン放送の概要は、以下のとおりである。
1) 英国
 英国では、公共放送であるBBCと既存アナログ放送事業者のTV3、S4C、チャンネル4及びチャンネル5に優先的に地上デジタル放送用の周波数が割り当てられ、1998年9月にBBCが標準テレビジョン(SDTV)番組による多チャンネル放送サービスを開始した。BBCは、デジタル放送の特長を活かして、インターネットを利用した双方向サービス等の実施を検討中である。
 また、新規商業放送事業者であるON digitalにもデジタル放送用周波数が割り当てられ、1998年11月から有料・多チャンネル放送サービスを開始した(図表2))。既に有料・多チャンネルの衛星デジタル放送を実施していたBSkyBが、1999年5月に受信に必要なセットトップボックスの無償配布を発表したため、当初、199ポンドでセットトップボックスを販売していたON digitalも、BSkyBに対抗してセットトップボックスの無償配布を行い、激しい受信契約者獲得競争を展開した。これにより、ON digitalは順調に加入者数を伸ばし、1999年12月末現在の加入件数は55万2,000件となっている。ON digitalは、16チャンネル以上のSDTV番組による多チャンネル放送サービスを行っており、セットトップボックスから電話回線に接続して、電子商取引等を行う双方向サービスも登場している。
 英国においては、1999年末現在で70%以上の世帯が地上デジタル放送の受信が可能になっており、2006年から2010年までにデジタル放送に移行することを目標としている。
2) 米国
 米国では、1998年11月に主要20都市の42の放送局で地上デジタル放送が開始され、2000年1月末現在で全米44都市の117局で高精細度テレビジョン(HDTV)番組を含むデジタル放送を実施している。FCC(連邦通信委員会)が、1999年11月までに主要30都市で4大ネットワークによる地上デジタル放送を義務づけたこともあり、1999年中に人口カバー率は60%を超えている。米国の地上デジタル放送の特徴は、HDTV方式の採用による高画質志向で、ABC、CBS及びNBCの主要ネットワークがHDTV番組を放送しているほか、公共放送であるPBSも、HDTV番組を放送している。なお、ABCやNBCは、デジタル放送の特長を活かした電子商取引サービスや、インターネットと連携した双方向サービスを開始している(図表2))。
 当初、地上デジタル放送開始時のHDTV方式のデジタル放送受像器が7,000ドル以上と高価であったが、徐々に低廉化が進み、CEA(Consumer Electronics Association:全米家電協会)の発表によれば、米国におけるデジタル放送受像器の販売台数は、1999年末までの累計で134,402台に達している。米国においては、2006年のアナログ放送廃止を目標としている。
3) スウェーデン
 スウェーデンでは、1999年4月に公共放送であるSVT等がSDTVによる多チャンネル放送を開始している。セットトップボックスは約5,000クローネ(約6.7万円)であるが、月当たり99クローネでレンタルも実施されている。スウェーデンにおけるアナログ放送は、デジタル放送開始後、10年を超えない範囲で終了することとされている。

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