平成12年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く目次の階層をすべて閉じる

第3章 情報通信政策の動向

10 軌道上保全システムの研究

宇宙ごみの一掃に向けて技術開発を推進

 現在のところ宇宙機の状況については、衛星から地上に送信されてくる情報に多くを依存しており、地上との送信路が途絶してしまった場合、その状況の把握は非常に困難となる。また、近年、衛星の打ち上げロケットの残骸や使用済み衛星等によってもたらされる不要衛星等(スペースデブリ=宇宙ごみ)の増大に伴い、運用中の衛星との衝突の危険性が高まりつつある。
 こうした中、通信総合研究所では、不具合を生じた宇宙機にランデブーし、その状況を把握して不具合の復旧を助ける遠隔検査サービスや軌道上のスペースデブリの除去を実現する軌道上保全システム(OMS:Orbital Maintenance System)の研究開発に、8年度から15年度までの8年計画で取り組んでいる(図表)。
 OMSを実現する上で必要となる技術は、制御されていない衛星へのランデブー技術、遠隔検査技術、衛星の捕捉技術など多岐にわたり、技術的難易度も高いため一度に実験を行うには、多大なリスク及びコストがかかる。したがって、通信総合研究所では、検査(Inspector)、不要衛星除去(Reorbiter)、修理(Repairer)の三つの小型研究開発衛星を段階的に打ち上げ各技術を確立していく、OMS Lightsという技術シナリオを提案している。
 現在、OMS実現に向けた技術として、最初の段階で必要となる検査監視技術の実証ミッション(OLIVe:OMS Light Inspector Vehicle Mission)について、14年頃をめどに実現すべく検討を続けており、11年度より、衛星搭載用画像処理計算機の基本設計を行うとともに、ハードウェア及び搭載ソフトウェアの開発等を実施している。

C34A0001.gif

 
 


9 技術試験衛星VIII型(ETS-VIII)の研究開発 に戻る 11 準天頂衛星通信システム(8の字衛星)の研究 に進む