平成12年版 通信白書

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第2章 情報通信の現況

3 産学連携

大学と企業の研究テーマのすり合わせや、大学側では研究資金の確保等が課題

 産学連携は、大学における学術研究のポテンシャルを引き出し、産業界等と連携・協力を進めることで新規事業創出への貢献が期待でき、大学が研究成果を社会全体に還元する有効なシステムであることなどから、社会的にも有益性が高まっている。 
 特に情報通信技術については、研究開発の成果が直接新規事業の創出に結びつきやすいため、産学連携の効果が現れやすいと考えられる。
 大学及び企業における情報通信分野の研究者に対して実施した「情報通信分野の研究開発環境に関する調査」によれば、10年度においては、大学が実施している共同研究のうち44.9%、企業が実施している共同研究のうち33.4%がそれぞれ産学連携により行われており、共同研究の形態として産学連携が大きな位置を占めていることが分かる(図表1))。
 産学連携において連携相手に提供できることとしては、大学が「技術的な指導・アドバイス」(74.0%)、「ユニークなアイデア」(57.8%)、「知的刺激」(41.6%)、「先端的な技術情報」(39.6%)等を挙げているのに対し、企業では、「不得意領域の支援」(33.5%)、「技術的な指導・アドバイス」(30.5%)、「ユニークなアイデア」(27.4%)、「研究資金」(25.0%)等が上位に挙がっている。逆に提供して欲しいこととして、大学では、「研究資金」(76.6%)が群を抜いており、企業では、「不得意領域の支援」(49.4%)、「ユニークなアイデア」(44.5%)、「先端的な技術情報」(44.5%)と続いており、各機関が期待していることと提供できることは、ある程度マッチしていると言える(図表2))。
 一方、産学連携の今後の課題としては、「企業・大学双方にとって、望ましいテーマの設定が困難」(大学31.2%、企業42.1%)「企業側と大学側の連携の目的が異なっている」(大学36.4%、企業39.6%)、「産学連携のために費用を負担する国や自治体の制度が不十分」(大学34.4%、企業27.4%)、「連携へのニーズとシーズを架橋する仕組みが整備されていない」(大学30.5%、企業25.0%)等が上位に挙がっている。特に大学側での特徴として「産学連携を実施するための場所やスペースが十分でない」(29.2%)といった回答をする割合も高く、今後、産学連携の推進に当たっては、大学と企業の研究テーマのすり合わせをしっかりと行うとともに、産学連携に対する公的資金供給の充実や、大学エリアにおける産学連携研究のための施設・設備の整備が重要と考えられる(図表3))。

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「情報通信分野の研究開発環境に関する調査」により作成
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「情報通信分野の研究開発環境に関する調査」により作成
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「情報通信分野の研究開発環境に関する調査」により作成
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