平成12年版 通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

(5)長期増分費用方式の導入に向けた取組

「電気通信事業法の一部を改正する法律案」が第147回国会へ提出される

 「長期増分費用方式」とは、ネットワークの費用を現時点で利用可能な最も低廉で最も効率的な設備と技術を利用する前提で算定する方式である。諸外国においては、接続料を「長期増分費用方式」に基づいて算定することが検討されており、英国や米国の州内通信の市内通信では既に導入が図られている。
 一方、現在の我が国における接続制度において(図表1))、接続料は、省令に基づいて指定電気通信設備(注25)の管理運営に実際に発生した費用を原価として算定されている。
 こうした中、我が国においても、長期増分費用モデルの作成を目的として「長期増分費用モデル研究会」が9年3月に設置された。
 本研究会では技術モデルの構築を目的として、諸外国モデルの分析、モデル案の募集等を行うとともに、モデル案を提出した事業者をメンバーとする4つの作業班を設置し、技術モデルの詳細検討を行い、11年9月に報告書を取りまとめた。
 本報告書において提案された試算結果であるケースAは、現行の料金制度・接続制度を前提とするのに対し、ケースBは、この制度の前提を緩め、き線点遠隔収容装置(き線点RT:加入者線に通常メタルケーブルを使用する電話、ISDN64及び一部の専用線を多重化し交換機までの区間を光ファイバで伝送する装置)コストの付け替えを行った場合であるが、付け替えによってGC接続の場合のコストが低下する一方で、端末回線のコストが増加する(図表2))。モデルは料金と直結するものではないが、この結果は、き線点RTのコストを仮に端末回線に付け替えた場合には、現行制度において加入者が直接定額で負担している基本料相当分のコストが増加し、基本料の値上げにつながる可能性もあることを示唆しており、この点に十分留意する必要がある旨が報告書においても指摘されている。
 郵政省では、本研究会の報告書を受けて、接続料算定の在り方について11年9月に電気通信審議会に諮問を行い、12年2月に答申を得て、12年3月に「電気通信事業法の一部を改正する法律案」を第147回国会に提出したところである。

C3215001.gif

C3215002.gif
※1 ZC・GCについては3分あたりの料金、端末回線については1回線あたりの月額料金。
※2 ( )内は10年度接続料と比較した増減比。
※3 ケースBは、き線点RTの年間コスト(約2,700億円)を端末回線コストに付け替えしたケース。
   
関連サイト:
「長期増分費用モデル研究会」報告書の公表
  http://www.mpt.go.jp/pressrelease/japanese/denki/990920j601.html



 
 


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