平成12年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く目次の階層をすべて閉じる

第1章 特集 ITがひらく21世紀

2 次世代ネットワークインフラの構築

(1) インターネットに関する総合的な研究開発の推進

ユビキタス化、超高速・大容量化に対応したインターネット社会の実現に向けて

 インターネット利用者の増加やマルチメディア化の進展に伴い、インターネットの超高速化・大容量化の実現とともに、パソコンに加え、デジタル・テレビから携帯端末等の情報家電まで、更にはメモリやCPU等電子機器に埋め込まれたデバイスまで、あらゆる機器にインターネットに対応させるための技術開発の重要性が高まってきている。
 米国政府においては、1998年度から毎年約1億ドルを投じて次世代インターネット(NGI:Next Generation Internet)の開発を推進しているが、我が国においても8年度から、安全・信頼性が高く、超高速・大容量通信に対応した「次世代インターネットに関する研究開発」を推進している。
 更に、米国政府では、1999年1月のIT2(Information Technology for the 21st Century)において、現在のインターネット技術が接続し得るのは電子機器全体の数%にすぎないという認識の下、2001年度予算案において、情報研究技術予算の中でユビキタス・ネットワークの研究開発を取り上げており、そこでは、「モバイルとワイヤレスシステムはインターネットに不可欠なものとなり、それらの機能を備えた機器、自動車、ポータブル・ウェアラブルな装置といったものが、自動的にネットワークに認識され、適切なプライバシーとセキュリティレベルで作動することとなる。」と述べられている。我が国としても、これらの流れに遅れをとらないための取組が不可欠である。
 郵政省においては、インターネットの総合的な研究開発を図るため、ミレニアム・プロジェクト(1-5-4参照)により、以下の研究開発を実施することとしている(図表1))。
1)次世代インターネットに関する研究開発等
 これまでに郵政省は、超高速化対応技術、高信頼化対応技術、ホームページの真正性証明技術などの研究開発を推進してきており、11年度には不正アクセス発信源追跡技術等にも着手している。12年度からは、ネットワーク障害検知技術に関する研究開発、情報収集エージェント技術に関する研究開発等を追加し、内容を拡充して推進する(図表2))。
 さらに、郵政省では、21世紀における次世代インターネット社会の実現へ向けての先駈けとして、エンド・トゥ・エンドでの高速・大容量通信の実現と高度アプリケーションの開発を行うための「次世代インターネットゾーン構想」を神奈川県において、11年度から推進中である。なお、本構想の推進は神奈川県内を中心とする企業、行政、学術研究者により構成される「次世代インターネットゾーン推進協議会」(同年6月設立)が、その運営にあたっている。
 こうした高度化に関する政策に加え、次世代インターネット社会の実現に向けた当面の課題を整理し必要な対応を図るため、「次世代インターネット政策に関する研究会」を11年12月より開催し、12年6月をめどに報告書を取りまとめる予定である。
2)情報家電を活用したインターネット技術の研究開発
 この段階ではパソコンに加え、テレビ、携帯電話、カーナビ、ゲーム機等のいわゆる情報家電が、新たにインターネットのプラットフォームとなることが想定される(図表4))。
 そのため、郵政省では11年度から従来ネットワークを前提とせずに提供されてきた家電製品等のサービス・モデルに関して、新たなコンセプトに基づいた様々な要素技術を組み合わせた、新規のサービス提供システムを構築するための研究開発を実施している。
 また、12年1月には家電メーカーや通信事業者等が「情報家電インターネット推進協議会」を発足させ、情報家電向けの総合的なシステム開発の推進、及びコンテンツの製作、表現ツール等の国際標準化へ向けた取組を郵政省に提言すべく活動している。
3)スーパーインターネットに関する研究開発
 プラットフォームが更に拡大し、ICカード、時計等身の回りのあらゆる電子機器に情報通信機能が付加され、インターネットに接続される段階が想定される(図表5))。
 この段階での基盤的技術開発については、政府が率先しつつ産学官連携のもとに推進すべき旨が、「21世紀における高度情報通信社会の在り方と行政が果たすべき役割」(11年5月の電気通信審議会中間答申)においても提言されている。
 このような状況を踏まえ、郵政省では、12年度から通信媒体、通信可能範囲等、特性の異なる多種・多数の通信端末をユーザーに意識させることなく円滑にネットワーキングするための技術や、ユーザーの利用環境をネットワークが自動認識し、必要な機能をダウンロードすることによって、最適なサービスを提供する技術の開発を実施する予定である。

C1621001.gif

C1621002.gif

C1621003.gif

C1621004.gif

C1621005.gif

 
 


(3)次世代携帯電話(IMT-2000)の推進 に戻る (2)電子署名・電子認証制度 に進む