平成12年版 通信白書

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第2章 情報通信の現況

(4)医療・保健・福祉分野

地域の患者や家族の通院等の負担を軽減

 情報通信技術の発展・普及は、情報通信を利用した映像により患者の病状等を伝送し、遠隔地から診断、指示等の医療行為を行う、いわゆる遠隔診療の実用化を可能にした。
 旭川医科大学附属病院は、11年4月に遠隔医療センターを設立し、全診療科で情報通信機器を活用した遠隔医療を実施している(図表)。北海道においては、高齢化の進行は著しく、2015年には道民の4人に1人が65歳以上になると予測されている。一方、高度な医療設備を備えた医療機関は都市部に集中する傾向にあり、広大で冬季の気象条件が厳しい北海道では、患者や家族の通院等の負担が大きく、遠隔医療センターは地域間の医療格差の是正に役立つものと期待されている。
 当センターは、国内外19か所の医療機関とISDN回線で結ばれており、診療・検査映像をリアルタイム動画として受信・記録し、コミュニケーションシステムにより遠隔地の病院等にいる患者や医師と対面・会話をしながら診療や検査を行うことができる。また、遠隔地の病院などから送信された病理映像をリアルタイムに表示することにより、手術中の病理診断も行え、さらに遠隔地の病院等の顕微鏡をリモコン操作する機能を有している。当システムには、1)医療情報や技術を地域の病院と共有し、これを地域の病院に通院する患者に還元することができることや、2)動画により遠隔地から病理診断が可能なことから、掛り付けの身近な地域の病院においても診療をすすめることができるケースが増え、患者や家族の負担を軽減できること等のメリットがある。最先端の技術を持つ大学病院等ときめ細かな診療ができる地域の病院とがそれぞれの強みを生かして必要に応じて補完しあうことによって、医療の向上と充実が図られるものと期待されている。
 また、10年6月には、インターネット、パソコン等を、医療、福祉、介護等の、社会性のある目的にいかに利用していくべきかを検討・協議し、さらに利用者の権利、安全を確保するための倫理基準を策定・運用することにより、インターネット医療(注22)の適正な利用を普及し、ひいては国民の医療、福祉の向上に貢献することを目的として、日本インターネット医療協議会(JIMA:Japan Internet Medical Association)が設置された。11年度は、1)インターネット上の医療情報の提供、利用状況の実態調査、2)医療情報の提供及び利用をめぐる問題事例の調査分析、3)「インターネット医療情報の利用の手引き」の作成、4)インターネット医療の利用法、応用法の研究等を行った。12年度は、電子メール上の相談における個人情報の扱いについての手引き等を作成していく予定である。

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関連サイト: 旭川医科大学附属病院 遠隔医療センター
  http://www.asahikawa-med.ac.jp/hospital/astec/
  日本インターネット医療協議会
  http://www.jima.or.jp/



 
 


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