昭和50年版 通信白書

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3 通信関係施設の整備

 通信の分野においては,各事業体によって積極的に設備投資が行われ,通信関係施設は近年急速に整備されてきている。通信関係施設は,社会資本として,生産活動の基礎施設としての性格すなわち生産関連社会資本としての面を持つと同時に,放送,住宅用電話にみられるように国民の生活に直接つながる生活関連社会資本の一つの柱としての性格を併せ持っており,なお国民のニーズの多様化に対応した整備の推進が必要となろう。
 49年度の通信の分野における設備投資額は1兆4,611億円であり,各分野別にみると次のとおりである(第1-1-7表参照)。
 郵便事業では人口の集中に伴う大都市及びその周辺への郵便物の集中に対応するため,局舎建設及び局内作業の機械化を進めている。49年度は総需要抑制策の一環として設備投資の一部繰延べが行われた結果,投資額は前年度に比べ15.4%増の539億円にとどまった。設備投資額のうち320億円が自己資金であり,219億円が財政投融資(簡保資金)からの借入金である。
 電電公社においても,郵便事業と同様に総需要抑制の方針に従い,投資規模は総額1兆3,405億円で,対前年度比14.8%増にとどまった。前年度に比べ多少伸びたものの,過去数年の急ピッチの設備投資からみると大きくスローダウンしている。投資額の配分は,「電信電話拡充第5次5カ年計画」を基調として加入電話の増設が中心となっており,52年度末における積滞の解消に向かって328万加入の増設があった。また,多様化する利用者の要望にこたえるため,プッシュホン45万5千個,ビジネスホン49万7千個をはじめとして加入電信8千加入,専用線3万6千回線が設置されたほか,市外回線12万6千回線が増設された。一方投資規模全体の圧縮によりデータ通信は5システムの増設にとどまった。資金調達についてみると,資本勘定の規模は1兆5,843億円であり,このうち1兆152億円が加入者債券,政府保証債券等の外部資金である。内部資金は5,691億円でその比率は35.9%であり,前は,年度の44.8%を大きく下回った。資金調達上債券の比重は高く,発行残高49年度末で3兆7,889億円に達しており,我が国の公社債全体の発行残高(外貨債を除く。)の7.6%を占めている。
 国際電電では,着実に増加する国際通信需要に対処するため,49年度においては257億円の設備投資が行われ,前年度に比べ26.6%の増加となった。投資資金のうち169億円が内部資金であり,88億円が借入金で賄われた。49年7月には国際通信センターがしゅん工し,第二太平洋ケーブル,日中海底ケーブル,衛星通信施設等の建設が推進された。なお,対外回線は49年度末で2,162回線となった。
 NHKにおいては49年度138億円の設備投資が行われたが,これは,全国あまねく放送が受信できるよう放送設備の充実等に投資されたものである。その投資額は前年度に比べると16.9%減少した。その資金についてみると,資本収入の規模は196億円であり,そのうち内部資金は78.6%でその大部分は減価償却引当金である。外部資金としては放送債券が22億円,借入金が20億円となっている。民間放送においては272億円の投資が行われ,前年度に比べ13.4%の減少となった。
 なお,自営電気通信については,郵政省が実施した主要120機関の調査によれば,49年度中に総計約8百億円の設備投資が行われた。設備面からみた場合,電話機3万8千個をはじめとして,印刷電信機,紙テープ伝送装置等の符号伝送装置3千台,模写・写真・手書伝送装置1千台が新設された。また,交換機についてはステップバイステップ式,クロスバ式等合わせて6百台が新設された。
 49年度末における施設数についてみると,電話機は74万個に達し,符号伝送装置は3万台,大気汚染,水質・水量測定用等に使用される遠方監視・制御装置は2万台となっている。また交換機は各方式を合わせ8千台となっている。

第1-1-7表 通信関係設備投資額

 

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