昭和50年版 通信白書

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2 外国郵便サービスの現状

(1) 業務運行
 49年度における外国郵便の業務運行は,前年度石油危機等により安定性を欠いた国際航空便も本年度はスムーズに運行し,また,大規模な港湾ストライキもなかったため,航空及び船便郵便物ともおおむね安定したサービスの確保が図られた。
 しかしながら,フランス,カナダ等との間に発着する航空郵便物については,これらの国における郵便職員のストライキのため一時交換が停止され,特にフランスについては,ストライキが約40日間にわたって行われたため,両国間の郵便による通信交換は長期間にわたって途絶することになった。
(2) 国際ビジネス郵便の取扱い開始
 近年,経済の発展に伴って企業活動は国際化と多様化の方向をたどっており,外国郵便の大口利用者は,その活動の効果的な運営を図るため,迅速かつ確実な新しい外国郵便サービスの実現を強く期待するようになった。一方,欧米各国においては,これらの需要を満たすためデータポスト,エクスプレス・メール,スピードポスト等の新サービスを実現しており,我が国にもこれに参加するよう要請してきた。
 我が国のこの種サービスへの参加は,内外の期待にこたえるばかりでなく,国際郵便通信の今後の発展に寄与することができるので,50年3月3日から,英国,ブラジル及び香港との間に,また,50年6月16日から米国との間に交換する航空郵便物について,航空,書留及び別配達(米国を除く。)の現行制度を組み合わせた航空郵便物の特別取扱い(国際ビジネス郵便)を開始した。
 この特別取扱いの概要は次のとおりである。
 [1] 取扱対象国(地域)英国,ブラジル,香港,米国。
 [2] サービス基準  差出入は,特定の曜日に特定の受取人にあてて定期的に,かつ,継続的に郵便物を差し出すことを条件とされており,郵便物の交換は,受取人,差出曜日,利用航空機名のリストを関係国と事前に交換し,定時に配達(交付)することになっている。
 なお,我が国においては,窓口引受及び私書箱交付であるが,外国では特別配達及び特別取集される。
 [3] 取 扱 局   この郵便物の引受及び配達を行う郵便局は,我が国では東京国際郵便局及び大阪中央郵便局である。
 [4] 郵便物の種類  航空,書留及び別配達(米国を除く。)とする書状。
 [5] 送達(受領)可能物品  業務通信,せん孔済みデータ(コンピュータカード,パンチカード),業務用書類,船積書類,金融機関間の小切手で無価値なもの及び関税が課されないものに限られる。なお,個人用通信,磁気テープ,マイクロフィルム,通貨,流通証券類その他の有価物は除かれる。
 [6] 大きさと重量  重量については1kg以上4kg以下とし,大きさの制限は「書状」と同一である。
(3) 日本・中国間航空郵便物の直接交換開始
 49年4月20日,我が国と中華人民共和国との間に「航空運送協定」が調印され,同年9月29日から東京・大阪〜北京・上海間に航空便の運行が開始された。
 日中間の航空直行便の開設に伴い,我が国と中国との間の航空郵便物は,直行便により交換されることとなり,中国あて航空郵便物は,従来の香港経由による送達に比べて,送達所要日数が1〜3日短縮されることとなった。

 

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