昭和50年版 通信白書

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第3節 ラジオ放送の国際的混信の解消

1 ラジオ放送と混信問題

 ラジオ放送は大正14年に開始されて以来,逐次全国普及を遂げてきた。その後,テレビジョン放送が開始され,テレビジョン放送の全盛時代にはラジオ放送の前途が一時懸念されたこともあったが,トランジスタラジオ,カーラジオ等の普及,超短波放送(FM放送)の開始,若者向けの番組編成がなされるなど聴取者層の拡大が図られ,最近は,特にラジオ放送の特質を発揮して国民生活に密着したものとなっている。49年度末現在,運用されているラジオ局数は,中波放送局483局(実用化試験局を除く。),短波放送局3局,超短波放送局(FM放送局)451局,合計937局である。
 このうち,中波放送については,中波帯の電波が昼間は地表に沿って伝わるが,夜間には地上100〜300kmの高さにある電離層で反射して遠距離まで伝わるという特性を有しているため,近隣諸国との間で混信が生ずることがある。
 このため,国際電気通信条約附属無線通信規則に基づき,各国は自国で使用する周波数を国際周波数登録委員会(IFRB)に通告し,国際登録を行った上,使用する建前となっている。
 しかし,中波放送は比較的安価な受信機で,広域なサービスエリアをカバーすることができ,発展途上国にとっては効果的な情報メディアであるので,これらの国々は競って大電力による中波放送局の建設を行っており,一国の大電力化は他国の大電力化を誘発して激しい混信を起こす状況になっている。更に,国際電気通信連合(ITU)に加盟していない国による混信も発生し,夜間の混信は国際的規模の問題となってきた。
 これに加えて,第一地域(東・西ヨーロッパ,アフリカ及び中近東の一部)と第三地域(アジア,大洋州及び中近東の一部)との間で中波放送の搬送周波数が異なっていることによるビート混信が激化したため,中波放送に新しい国際秩序を確立する必要が生じてきた。

 

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