昭和50年版 通信白書

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2 地域的動向

 我が国の情報化の地域的動向を地方別及び都道府県別に情報化指数により見てみると,第1-1-23図のとおりとなっている。これによると,地方別では,関東地方,近畿地方,北海道地方,中部地方,中国地方,四国地方,九州地方,東北地方及び沖縄地方の順で情報化が進んでいるのが分かる。更に,都道府県別に見てみると,情報化の最も進展しているのは東京都であり,大阪府,京都府がこれに続き,次いで愛知県,広島県,福岡県及び神奈川県の順となっている。これは,京浜地域,中京地域,京阪神地域及び北九州・瀬戸内西部地域という日本四大工業地帯と高度情報化地域とが一致しており興味深い。
 全体的傾向としては,情報化指数が平均以上の地域は47都道府県中16都道府県と全体の34%であり,日本の情報化は,少数情報化先進地域に支えられている感がある。事実,45年度から49年度への情報化指数の伸び率についてみると,情報化指数が平均以上の県の平均伸び率は43%であるのに対し,平均以下の県のそれは41%と平均以上の県のそれを下回っており,わずかながら情報化の全国的集中化傾向を示している。
 49年度の情報化指数を各項目別に見てみると,地域格差の大きいのは,電子計算機の普及台数で,上位二位の東京都1万人当たり7.23台,大阪府5.35台に対し,下位二位の福島県0.76台,島根県0.60台と10倍以上の開きがある。反対に地域格差の小さいものは100人当たりテレビ台数で,これは全国ほぼ4人ないし5人に1台程度普及している。また,就業人口に対する第三次産業就業者数の比率も全国ほぼ40〜50%程度となっており格差は小さい。
 情報化指数における各要素についてその構成比を見てみると,45年度の構成パターンには第1-1-24図のように次の4種類がある。
[1] 情報量と通信主体水準の構成比が高く,反面,情報係数が著しく低いパターン(例:東京都)
[2] 通信主体水準の構成比が最も高く,かつ,その他の要素の構成比がほぼ均等であるパターン(例:宮城県,京都府,福岡県)
[3] 情報量の構成比が最も高く,かつ,その他の要素の構成比がほぼ均等であるパターン(例:神奈川県,大阪府)
[4] 各要素の構成比がほぼ均等であるが,情報係数が他の要素に比して比較的大きいパターン(例:福島県,島根県)
 [1]から[3]までのパターンは,いずれも平均以上の地域に見られるパターンであり,[4]のパターンは平均以下の県に共通するパターンである。このパターンに見られるように,45年度においては先進諸国に見られる情報装備率主導型の情報化パターンを示している地域は見られなかったが,45年度以降の各地域の情報化は情報装備率中心の先進諸国型の情報化パターンに移行している。すなわち,我が国の地域別情報化は,45年度以降情報量及び通信主体水準主導型から情報装備率主導型に転換し始めていると言える。
 このように我が国の情報化は,工業都市を中心に広がっており,更に,電子計算機,電気通信設備等の情報装備率を中心に進展していると言える。

第1-1-23図 地方別・都道府県別情報化指数

第1-1-24図 情報化のパターン

 

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