昭和50年版 通信白書

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第5節 情報通信事業

1 概   況

 情報通信事業は,電電公社,国際電電及び民間企業により営まれている。
 電電公社の情報通信事業は,公衆電気通信法の規定に基づき国内公衆電気通信役務の一環として行われている。電電公社のサービスは,一般利用者が共同利用する形態のもの(公衆データ通信サービス)と特定利用者の特定業務を対象とするもの(各種データ通信サービス)があり,いずれも順調に発展している。公衆データ通信サービスについては,49年度にもサブセンタ方式によりサービスの拡充が行われた。
 また,各種データ通信サービスについては,従来から公共的なもの,全国的規模を有するもの及び開発先導的な役割を有するものに重点を置いて実施されてきたが,今後は特に,これからの我が国の国民的課題である社会福祉の増進,社会開発等を指向するナショナルプロジェクトを積極的に推進することが期待されている。
 国際電電の情報通信事業も,公衆電気通信法の規定に基づき国際公衆電気通信役務の一環として行われているが,現在提供されているサービスは,従来の国際電信専用回線の接続機能の拡大を図ったものであり,特定業務の処理又は情報提供を行うには至っていない。
 民間の情報通信事業で49年度に開始されたサービスのうち,特に注目されるのは,証券市場の情報を提供するサービスとミニコンピュータをホストコンピュータとして使用するサービスである。前者のサービスシステムは証券取引所の株価表示等を行うシステムに接続しており,株価等の現況や関連の経済情報を全国各地の証券会社等に提供するものであり,その端末数は約3,200台に上っている。このシステムの出現は,多数の人手を介して行われていた従来の証券市場情報の伝達形式を一変し,証券取引界に画期的な革新をもたらすものとして評価されるとともに,我が国初の本格的な情報提供サービスの開始として大きな意義をもつものである。後者のサービスシステムは記憶容量が40キロワードのミニコンピュータをホストコンピュータとするもので,主として給与計算その他企業の一般事務計算等のサービスを提供している。従来は,ホストコンピュータにははん用の大型機又は中型機が使用されており,ミニコンピュータは中継用などに使われるのが一般的であったが,このようなサービスシステムの出現は,多額の設備費を要するはん用大型コンピュータ等を導入できない小規模企業でも運用次第ではこの業界への参入の可能性があることを示すものといえよう。
 このほかに最近では自らはデータ通信設備を持たず,他の情報通信事業者のデータ通信設備を通じて情報提供等を行うといった新しい形のサービス業者が出現し始めてきている。

 

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