昭和50年版 通信白書

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第2章 公衆電気通信

第1節 概   況

 戦後初のマイナス成長という経済環境の中にあって,国内電気通信の分野における49年度の建設投資については,予算規模の抑制,物価の影響等があったが,電電公社の「電信電話拡充第5次5カ年計画」の第二年目として,52年度末で全国規模における電話の積滞解消等の目標を達成するため,設備の拡充強化がなされた。
 すなわち,総投資額1兆3,405億円により一般加入電話328万加入,公衆電話3万9千個等が増設されるとともに,新電話局563局,市外回線12万6千回線等の建設が行われた。この結果,49年度末における加入電話等の総数は2,887万加入(対前年度比13%増)となり,人口100人当たりの普及率は26.1加入となった。また,申し込んでもすぐには付かない積滞電話の数も49年度末では98万7千となり着々と減少し続けている。
 サービスの多様化についても努力が払われ,プッシュホン,キャッチホン,ポケットベルサービス,テレホンサービス,高速道路通信サービス,電話ファクス等が前年に引き続き拡充されたほか,新たに支店代行電話,着信転送電話等が開始された。
 データ通信についても,49年度において,新たに各種システム2,公衆データ通信システム3がサービスを開始し,また,特定通信回線8,018回線,公衆通信回線1,824回線がそれぞれ前年度より増加するなど着実に発展している。
 通信技術の開発については,ディジタルデータ交換網の研究開発及びその実用化,テレビ会議方式及び高速ファクシミリ方式の実用化,自動車電話方式の研究,福祉対策用宅内機器の実用化等18項目が重点的に進められているが,通信技術の開発はサービスの改善,投資効率の向上,省資源,省力化等に大きく寄与するところとなっている。
 事業経営についてみると,49年度における我が国の経済動向等を如実に反映して,事業収入の伸びが思わしくなく予定収入をかなり下回った反面,事業支出が大幅な仲裁裁定の実施及び資材の高騰を主たる要因として著しく増大した結果,49年度決算において1,753億円の欠損を生ずるに至った。
 電電公社が決算上欠損を生じたのは,46年度の43億円に次いで二度目であるが,今回は欠損規模においてこれをはるかにしのぐとともに,その内容において前年度1,292億円の黒字を上げていた電話業務までもついに345億円の欠損を計上し,電報業務,データ通信業務に続く第三の赤字部門に転落していることは極めて重大である。
 この原因として,上記の経済動向等の理由に加え,これまでも事業収支率を長期的に低落させる要因であった地方中小都市の電話加入区域拡大のための設備投資の増加及び事業用電話に比べ単位当たり収入の低い住宅用電話の比重増大の結果として投資効率が低下した面を軽視することができず,加えて,これまでの巨額な設備投資に伴う金融費用の増大,人件費の着実な増大等支出の硬直化現象もまた注目を要するところであり,いずれも単に一時的なものでなく,50年度以降においても引き続き事業収支を圧迫するものと予想される。
 一方,農林漁業地域における電気通信サービスの在り方については,48年6月に設置された「地域通信調査会」において,専門的見地から検討されてきたが,49年9月その報告書が郵政大臣に提出された。この報告書では,農林漁業地域社会の変遷,その下における公衆電気通信サービスの問題点,更には今後の同地域における公衆電気通信サービスの在り方について調査,検討した結果が述べられている。
 次に国際電気通信についてみると,その取扱数は,48年度に対前年度比国際電報6.8%増,国際加入電信32.5%増,国際通話56.1%増といずれも順調な伸びを示したが,49年度は対前年度比国際電報8.2%減,国際加入電信16%増,国際通話18%増と,減少ないし伸び率の鈍化を来すところとなり,国際電電の収支状況は,営業収益681億円(対前年度比10.1%増),営業外収益及び特別利益を含めた総収益は715億円であり,一方,営業費用553億円(同22.9%増),営業外費用及び特別損失を含めた総費用は644億円であり,利益金は71億円(同30.4%減)となった。

 

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