昭和50年版 通信白書

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3 郵便輸送施設

(1) 郵便輸送施設の推移
 郵便物の輸送手段として,鉄道,自動車,航空機,船舶等があり,遠距離は主として航空機,鉄道により,近距離又は大都市内(近郊を含む。)は主として自動車により輸送を行っている。
 鉄道については,大部分を国鉄に依存しているが,近年,国鉄においては旅客輸送と荷物輸送とを分離する輸送形態への変更(客荷分離)や荷物輸送を自動車輸送に切り替える(自動車代行輸送)などの合理化施策が推進されつつあり,これに伴い郵便も鉄道輸送から自動車輸送へと移行しつつある(第2-1-14表参照)。
(2)郵便輸送施設の主な開設及び廃止
ア.航空輸送
 郵便専用機は,札幌・東京間上下各1便,東京・大阪間上下各3便(うち下り1便名古屋立寄),大阪・福岡間上下各1便合計10便がいずれも深夜に運航されていたが,大阪国際空港における航空機騒音に関連し,49年3月から同空港に発着する郵便専用機の発着時刻を同空港の規制時間(22時から7時まで)外としたほか,東京・大阪間上下各2便を廃止した。その後,東京国際空港など他の空港についても,同年11月から残りの6便を全面的に廃止し,一般旅客機を利用する輸送に変更した。
イ.鉄道輸送
 鉄道輸送施設の改正は,例年10月に実施しているが,49年度は国鉄の山陽新幹線岡山・博多間の開業に合わせ,50年3月10日から次のとおり実施した。
(ア) 門司・鹿児島西回線(鹿児島本線)関係
 従来,旅客列車にも連結されていた郵便車が全面的に荷物専用列車に連結替えされ,小駅には停車しない「拠点間輸送」となったため,門司・鹿児島西回線の乗務員の郵便車内での継送・区分作業を簡素化し,郵便物は到着地の拠点局で区分することとしたほか,沿線に自動車便を大幅に新設した。
 また,熊本・三角線及び伊集院・枕崎線(私鉄)の郵便輸送を鉄道輸送から自動車輸送へ切り替えた。
(イ) 東京・門司線(東海道・山陽本線)関係
 新幹線の延長により,急行列車「阿蘇号」が廃止されたため,これに連結していた名古屋・門司間護送便1往復が廃止された。これに代わる輸送手段として汐留・東小倉間にパレット締切便1往復を新設した。
(ウ) その他
A.東京・塩尻線及び東京・銚子南回線で郵便車を電車郵便車に置き替えた。
B.コンテナ便を次のとおり開設又は廃止した。
    開設 保土ケ谷→淀川,隅田川→札幌,新宿→南松本各1便
    廃止 汐留→梅田,梅田→汐留,隅田川→函館各1便
ウ.自動車輸送
 国鉄のダイヤ改正に伴い上記イのとおり専用自動車便を開設したほか,国鉄,私鉄,バス等による託送難の救済と,郵便物の送達速度の安定等を図るため,専用自動車便の開設又は増強を行った。
エ.船舶輸送
 49年10月から大阪・徳島間にカーフェリーによるコンテナ郵便線路を開設し,海陸一貫輸送により荷役作業の省力化等を図った。
(3) 今後の郵便輸送
 近年,特に48年末の石油危機以来,各種輸送機関を取り巻く諸条件が流動的であり,郵便輸送についても,これらの情勢を踏まえ,施設の効率化を図ることが必要とされる。
 そのためには,国鉄の拠点間直行輸送方式等の合理化計画の推進状況を見守るとともに,航空,自動車,船舶等運輸業界全般の動向をは握しながら,現行郵便輸送施設の効率化,荷役作業の省力化(郵便輸送に適合したパレットやコンテナの検討,それらの運送用車両開発による一貫輸送等)等を実施し,社会経済情勢に応じた効率的な郵便輸送システムの確立を目指すこととなろう。

第2-1-14表 郵便輸送施設の推移(1日当たり延べキロ程)

 

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