昭和49年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

1 経済動向と通信活動の状況

 47年に回復に転じた我が国経済は,48年に入って景気の一層の拡大を示すに至った。しかし,間もなく供給力の限界にぶつかり,需要の増加が物価上昇に吸収される形をとりながら,名目的拡大を続けた。こうした中で,公共事業の繰延べ等総需要抑制策が極めて強力な形でとられた。更に,11月以降の石油・電力等に対する消費規制措置の影響も加わって,49年に入ると経済の拡大に終止符が打たれた。49年1〜3月には実質国民総生産が,前期比5.0%減と大きく落ち込んだ。こうして48年度の名目国民総生産は117兆7千億円と対前年度比23.2%の増加となったが,実質成長率は5.5%にとどまった。
 48年度の通信サービスの生産額は2兆6,355億円で前年度に比べ15.4%の増加となり,47年度の増加率17.0%を下回った。
 各業種別に48年度の動向をみると次のようになっている。
 郵便事業においては,48年度中に引き受けた総郵便物数は132億通(個)で,前年度に比べ5.1%の増加であった。その結果,郵便サービスの生産額も3,490億円で,前年度に比べ5.1%の増加となった。これを月別にみると必ずしも順調に推移したとはいえず,基本となる切手,はがき,後納及び別納による収入額について対前年同月比でみると,4月から11月までの各月は平均で約7%の増加となっていたものが,12月から49年3月までの各月は,12月の4.6%減をはじめとしていずれも減少となり,平均で約2%の減少を示すに至った。
 電話事業(有線放送電話を含む。)においては,年度末の電話機総数は3,802万個で前年度に比べ11.8%増加した。電話サービスの生産額は1兆5,660億円で前年度に比し16.6%の増加であった。内訳は,電電公社によるものが1兆5,160億円,有線放送電話によるものが212億円,国際電電によるものが288億円となっている。年度を通ずる月別の状況は,電電公社によるものについてみると,4月から49年1月に至る各月が対前年同月比平均約18%の増加を示したのに対し,2月と3月の前年同月に対する増加率は,平均約12%にとどまった。国際電電によるものについてみると,更に大きく変化している。すなわち,4月から49年1月までの対前年同月比は平均約48%と大幅な伸びを示していたにもかかわらず,2月と3月は平均で約6%増にとどまり鋭角的に落ち込んだ。
 電信事業においては,国内電報の発信通数は対前年度比13.8%減の4,816万通となったが,加入電信加入者数は対前年度比10.1%増の6万5千加入となった。国際電報は,対前年度比6.8%増の600万通となり,国際加入電信は,対前年度比32.5%増の1,063万度となった。この結果,電信サービスの生産額は対前年度比8.5%増の705億円となった。そのうち国際電信の生産額が331億円で前年度に比較して20.4%と大幅な増加を示したが,月別にみると電話と同じく,49年2月からの伸びの鈍化が著しく,それまでの対前年同月比の平均約23%増から約8%増へと落ち込んだ。
 放送事業においては,NHKの受信契約数が48年度末で対前年度比2.0%増の2,492万件となり,このうちカラー契約は17.3%増の1,834万件となった。テレビジョン放送の放送時間については,電力節減のための臨時措置として,NHKが49年1月16日から短縮を実施し,総合で1日当たり1時間39分,教育で1日当たり2時間(48年度末現在)の短縮となった。民間放送では全87社のうち83社が深夜における放送終了時刻の繰上げを実施し,48年11月に比べ48年度末現在では1日当たり全社平均で35分の短縮となった。放送サービスの生産額は前年度に比較し18.3%増の5,779億円となり,このうちNHKによるものが7.4%増の1,162億円,民間放送テレビによるものが21.5%増の4,013億円,民間放送ラジオによるものが21.0%増の604億円であった。

 

第1-1-4表 通信サービスの生産額

 

 

 

第1部第1章第2節 昭和48年度の経済動向と通信 に戻る 2 通信事業の動向 に進む