昭和49年版 通信白書

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第2節 通信における国際交流及び国際協力

1 国際放送及び番組交換

 我が国と諸外国との友好関係を維持していくためには,諸外国に対して正しい日本の姿を紹介するとともに,日本国民が諸外国の実情をよく理解する必要がある。このため,我が国をはじめ各国は,国際放送や放送番組の交換を通じて,国内事情,歴史,文化,芸術,風俗,自然などの紹介を行っており,国際間の友好関係の増進と協力関係の樹立に大きな貢献をしている。
(1) 国際放送
 我が国の国際放送は,NHKを通じて行われている。48年度においては,全世界に向けて,21の言語を用い,1日延べ37時間の放送を行っている。放送番組は,ニュース,解説番組,インフォメーション番組,芸能番組,スポーツ番組及び特集・特別番組があり,ニュース及び解説番組は,日本の姿,日本の現状等を正しく伝えるとともに,内外を問わず世界的に関心の高い題材を重点的に取り上げ,日本の立場や反響などを紹介することによって,国際間の相互理解と親善に貢献している。インフォメーション番組は,我が国の社会・文化の現状と特質を日本人の生活,風土,伝統,思考などを背景に伝えるとともに,産業の紹介,日本各地の話題など幅広い番組の放送を行っており,我が国への正しい理解に役立っている。また,芸能番組及びスポーツ番組は,我が国の古典音楽,歌謡曲,相撲中継などを通じて,娯楽を提供するとともに,日本の文化,伝統などを紹介することによって国際間の友好,親善に役立っている。このほか,我が国での大きな話題,国家的な行事に際しては特集・特別番組を放送している。このような我が国の国際放送に対する海外の反響は年々高いものとなっており,放送番組に対する年間投書数も,48年度は6万4,262通あり,47年度に比べ1万1,912通の増加であった。これらの投書によれば,報道番組では「アジア・ニュース」,インフォメーション番組では「やさしい日本語」,「日本このごろ」などの番組が好評を博している。
 一方,諸外国からの我が国向け国際放送としては,14か国が日本語放送を行っている(第1-4-8表参照)。近年,国際化が進展するに伴って,海外への関心が高まっており,各国の政策,情勢,話題などを知る上の参考として利用されている。これらの放送のうち,英国のBBC放送が行っている英語講座や北京放送が行っている中国語講座への反響が大きい。
(2) 番組交換
 国際間の相互理解と友好,親善を増進するため,我が国の放送関係機関と諸外国の放送関係機関との間で協定を結び,それぞれの放送機関が制作したテレビ・ラジオ番組の交換を行っている。
 我が国の番組交換は,NHK及び民間放送が個別に行っているものと財団法人放送番組センターが中心になって行っているものとある。
 NHKは,ラジオ放送においては昭和26年度から,また,テレビジョン放送においては34年度から番組交換を開始し,海外との文化交流に大きな足跡を残してきた。現在,NHKは,アジア放送連合(ABU)の正会員,ヨーロッパ放送連合(EBU)の準会員として連合加盟放送機関との間で番組交流,衛星中継の実施, 駐在特派員への相互協力などを行うとともに,米国,ソ連,スペインなど11か国の放送機関と協力協定を結んで番組の交換を行っている。最近におけるテレビ及びラジオの番組交換実績は第1-4-9表のとおりである。
 NHKが海外に提供している番組は,テレビでは劇映画,ドキュメンタリー,産業・文化などの紹介番組が主な内容であり,最新の日本の文化を海外に紹介する文化ニュース(毎月2回),ABU加盟国相互間が文化や生活慣習などの話題を短編フィルムで交換する「ABUマガジン(年4回)」,EBU主催の「青少年向けドキュメンタリー番組交換計画への参加番組(年1回)」などがある。ラジオでは主として米国の教育放送局や東南アジアの国営放送局へ提供しており,国際放送の日本紹介番組や娯楽番組あるいは国内放送の音楽番組を再編集したものが中心となっている。
 海外から受け入れている番組は,テレビでは各国の風俗,産業などを紹介するものが主であり,欧州諸国から受け入れているものが多い。また,ラジオにおいても欧州諸国からの受入れが90%以上を占めており,そのほとんどが著名な音楽祭,音楽コンクール,放送コンサートの模様を紹介するものである。
 最近,日本人の海外進出が盛んになるに従って,我が国への関心が高まっており,海外の放送機関が「日本のタベ」として長時間にわたる特集番組を偏成する傾向が目立っている。フランス,フィンランド,西独,ソ連及びポーランドにおいて既に実施されており,特にポーランドでは,48年度に6時間にわたる「日本のタベ」を放送した。
 放送番組センターは,民間放送の教育教養番組の充実と向上を目的として43年に設立され,業務の一つとして海外との番組交換を行っている。放送番組センターの番組交換業務は,海外に日本の正しい姿を紹介するため,独自の放送番組を制作するとともに,放送事業者が制作した番組の提供を受けて,これらの番組を海外の放送機関に提供することと海外の放送機関が制作した番組を国内の民間放送にあっせんすることを行っている。特に,47年7月,日米文化教育会議の勧告に基づき外務省の依頼を受けて,放送番組センターが日米放送番組交流のための日本側の事務局を担当することになって以来,番組交換業務が活発になった。また,国際交流基金の要請により,ライブラリー番組の海外版を制作し,在外大公使館を通じて各国に配布している。放送番組センターが48年度に完成したテレビジョン放送用大型特別制作番組「TV・TV・NIPPON」と「JAPAN」は海外で好評を博している。

 

第1-4-8表 世界各国からの日本語放送(昭和49年7月現在)

第1-4-9表 NHKにおける最近の番組交換実績

 

 

 

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