昭和49年版 通信白書

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3 郵便輸送施設

(1) 郵便輸送施設の推移
 郵便局と郵便局との間の郵便物の輸送は遠距離地間は主として航空機と鉄道によって,近距離又は大都市内は主として自動車によって行われているが,近年,国鉄線については旅客輸送と荷物輸送とを分離する輸送形態への変更や荷物輸送を自動車輸送に切り替える等の合理化施策が推進されつつあり,これに伴い郵便輸送も鉄道便から自動車輸送へと次第に移行しつつある。  第2-1-23表は郵便の輸送施設の推移をみるために延ベキロ程を示したものであり,また,第2-1-24表は自動車線路の増加状況と線路の長距離化傾向を示したものである。
 今後もこの国鉄の施策拡大とともに,一方,高速道路をはじめとする自動車網の整備拡充も図られるので,自動車による郵便輸送の分野は更に拡大していくこととなろう。
 また,最近までの航空機の高速,大型化と空港の整備拡充も目覚ましいものがあり,郵便送達速度の向上と安定を図るため,高速輸送機関としての航空機による郵便輸送の拡大も進められてきている。
(2) 郵便輸送施設の主な開廃
ア.航空輸送
 航空機による郵便物の輸送は遠隔地間の郵便物の送達速度の向上に大きな役割を果たしてきたところであるが,近年大阪国際空港における航空機騒音が社会問題化し,同空港に発着する郵便専用機の深夜の運航については代替輸送手段を考慮し段階的に解消することとしていた。
 このため,郵便専用機に代わり得る郵便物の輸送方法について,国鉄新幹線の利用その他について検討を重ねてきたが,現在のところ,従前の郵便物の送達速度を維持できる適当な代替輸送手段を見出すことができないと判断し,49年3月から大阪国際空港に発着する郵便専用機の発着時刻を同空港の規制時間(22時から7時まで)外とするほか,早朝及び最終の旅客機による輸送を行うこととするとともに,一部,高速道専用自動車便の増強,鉄道便への振替輸送等を行った。
イ.鉄道輸送
 国鉄の施策変更を受けて次のとおり施設の変更を行ったほか,郵便物の送達速度の向上,安定を図るため貨車便(7便)の廃止とコンテナ便(22便)の増強を実施した。
 (ア) 柏崎・新潟線の鉄道荷扱廃止及び松阪・鳥羽間の気動車化に伴い,その区間の鉄道郵便輸送を廃止し専用自動車によることとした。
 (イ) 亀山・大阪線の客荷分離による鉄道郵便車の荷物専用列車への連結替え及び直江津・新潟間の郵便車施設の変更に伴い,専用自動車便を含めた施設調整を行った。
ウ.自動車輸送
 国鉄のダイヤ改正及び航空ダイヤ改正に伴い上記のとおり専用自動車便を増強したほか,バスのワンマン化等によるバス託送難の救済と郵便物の送達速度の安定等を図るため,専用自動車便の増強等を行った。すなわち,千葉県西北部地域については,従来東京から各郵便局立ち寄りの比較的長い自動車便によっていたが,輸送効率を高め郵便物の送達速度の安定を図るため,市川,千葉両局を中継基地とする自動車輸送網に編成替えした。その他福岡県筑豊地域,久留米地域についても同様趣旨から自動車線路の再編成を行った。
(3) 今後の郵便輸送
 各種輸送機関の近代化に対応し,今後の郵便輸送網は拠点局相互間を結ぶ「拠点間輸送」と拠点局を核とする「地域内輸送」とに分離され,拠点間輸送では遠隔地間は航空機,鉄道及び船舶が,近距離は自動車輸送が主力となり,地域内輸送は自動車輸送がその主体となるであろう。更に自動車による輸送は有効ダイヤの設定が容易であり,長距離高速道路の整備いかんによっては長距離区間にまで拡大されよう。
 また,コンテナ,パレットの使用やカーフェリーの利用により荷役作業の省力化を行うとともに輸送時間の短縮を図っていく必要がある。

第2-1-23表 郵便の輸送施設の推移(延ベキロ程)

第2-1-24表 専用自動車線路の推移

 

 

 

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