昭和49年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

3 資源探査衛星

 1972年に米国において世界で最初の実験用資源探査衛星ERTS-1が打ち上げられ,その遠隔探査技術は素晴らしい威力を発揮した。
 ここから得られるデータは,国際連合を通じた米国の呼びかけにこたえて,我が国をはじめ世界中の研究者,研究機関が研究することになった。国際連合の場においても,このERTS-1による実験を契機に,資源探査衛星を地球資源の探査や地球環境管理の有力な武器にしていこうという動きが活発化している。なお1975年には,第2号のERTS-2が打ち上げられる予定になっている。
 資源探査衛星の技術体系は,リモートセンサーによる情報収集,収集情報の地上への送信,情報の処理解析からなっている。資源探査衛星にとう載されるリモートセンサーは複数台設置され,光領域からマイクロ波にかけた電磁波で作動するが,更に広領域の測定を可能にする努力がなされている。衛星及びセンサーの管制をはじめとし,測定された情報の地上への伝送は,すべて電波を利用した無線通信により行われる。ERTS-1では,情報の伝送には2GHz帯の電波が使用されている。また,膨大な情報を有効に利用するために,電子計算機による処理・解析が行われている。
 資源探査衛星は従来の観測手段と異なり,地上調査ではとらえられない広域を短時間で調査できること,定時定域的並びに継続的観測ができること,及び広域にわたる変化や,自然的,人為的現象を電磁波で精密測定し得ること等の優れた特長を有している。また,その利用分野は,農林水産資源のは握,鉱物資源の探査,環境保全等極めて幅広いものになっている。今日,全地球的規模での資源の有効利用,環境保全が要請されており,資源探査衛星は一躍脚光を浴びることになったといえよう。

 

 

 

2 通信による交通の代替 に戻る 第1部第4章 国際化の進展と通信 に進む