昭和49年版 通信白書

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第6節 外国郵便

1 外国郵便の利用状況

(1) 外国郵便物数の動向
ア.概   況
 外国あて郵便物数は,第2次世界大戦後,我が国の国際社会への復帰に伴う貿易の拡大,国際交流の進展を反映して,毎年順調な増加を示してきたが,46年度をピークとして,その後は減少の傾向にある。48年度の物数は,船便通常1,727万5千通,航空通常6,429万通,船便小包79万7千個,航空小包100万9千個であるが,これを対前年度比でみると,船便の通常及び小包郵便物については,それぞれ14.2%減,14.0%減となっており,航空便については,通常郵便物が0.9%増とわずかながら伸びを示しているものの,小包郵便物は4.2%減となった。
 一方,外国来郵便物数は,48年度は,船便通常3,757万6千通,航空通常7,283万1千通,船便小包77万4千個,航空小包66万6千個と対前年度比で船便通常5.2%減,航空通常9.4%増,船便小包4.0%増,航空小包18.0%増と船便通常郵便物のみが減少した。
イ.船便航空便別の利用動向
 外国あて郵便物について,過去10年間における船便航空便別の利用動向をみると,38年度において通常郵便物で航空便67に対し船便33であったものが,48年度では79:21となっており,小包郵便物においても36:64であったものが56:44と逆転している。
 また,外国から到着する郵便物についても,同様に,船便から航空便への利用の移行がみられる。
 すなわち,38年度において,通常郵便物で航空便と船便の利用比は58:42であったのが,48年度においては66:34と格差を広げており,小包郵便物については,38年度は26:74と船便が圧倒的に優位であったが,48年度には46:54と格差が縮まっており,近い将来,航空小包が優位に立つことが予想される(第2-1-30図〜第2-1-33図参照)。
 このことは,外国郵便の利用形態が船便から航空便に急速に移行していることを示しているものといえよう。
(2) 外国郵便物の流れと利用実態
ア.地域別交流状況
 48年度の調査によれば,外国あて郵便物は,通常郵便物及び小包郵便物とも北米あてが断然第一位を占め,第二位のアジア州あて郵便物と合計すると,通常郵便物の62.3%,小包郵便物の68.3%がこの両地域で占められている。
 一方,外国から到着する郵便物についても,北米からの郵便物が最も多く第一位を占め,第二位は通常郵便物の場合は欧州,小包郵便物の場合はアジア州となっており,第一位と第二位とを合計すると通常郵便物で70.9%,小包郵便物で73.1%がこれら両地域で占められている。この傾向は,年度により多少の差はあっても,ここ数年間大きな変化はない。
 また,この地域別構成は,我が国の国際経済社会等における交流状況の実態を反映している(第2-1-34図参照)。
 なお,国別にみると,国交回復後の中国との交流物数が国交回復前に比べて大幅に増加している。
イ.種類別利用状況
 外国あて航空通常郵便物についてみると,「書状(航空書簡を含む。)」の利用が最も多く,航空通常郵便物数全体の71.0%を占めているが,これに対して外国あて船便通常郵便物では,「印刷物」の利用が最も多く,全体の87.1%を占めている。
 外国来通常郵便物の種別についても,外国あて郵便物と同じ傾向を示し,航空便では「書状(航空書簡を含む。)」が最も多く,また船便では「印刷物」が最も多い(第2-1-35図参照)。
ウ.利用実態
 48年3月に東京都区内及び大阪市内の外国郵便大口利用会社150社(業種別内訳-「貿易・商事」50%,「製造業」13.3%,「金融・保険業」10%,「運輸・通信業」10%,「デパート」6.7%,「その他」10%)を対象に実施した「外国郵便の利用動向等に関する調査」によれば,その利用実態は次のとおりである。
(ア) 差出回数及び差出方法
 調査対象会社の外国あて郵便物の差出回数は,「1日2回以上」差し出している会社が45%と半数近くを占め,「少なくとも1日1回」差し出している会社(40%)がこれに次ぎ,合わせて全体の85.2%の会社が毎日外国あてに郵便物を差し出している(第2-1-36図参照)。
 このように定期的に差し出される外国あて郵便物を効率的に処理するために,自社の「郵便課(通信課又は発送課)」で一括して発送している会社は全体の半数以上にのぼり,更に「発送代行会社に委託して差出しを行っている」会社もかなりある。
 また,「定期的に航空郵便物を発送しているあて先のリスト」を備えている会社がほぼ半数あり,特定の受取人あての郵便物が多いことを反映している。
(イ) 内容品目別の利用状況
 郵便により外国へ送られる品物にはどのようなものがあるかを,郵便物の種類ごとに発送通数についてみると第2-1-37図のとおりである。
 すなわち,航空通常郵便物では,「通信文」が最も多く,次いで「船荷証券」,「その他の業務用書類」,「送り状」,「小切手」の順となっており,航空小包郵便物では「商品見本」が第一位を占め,以下「宣伝広告物件」,「パンフレット」,「その他の業務用書類」,「定期刊行物」の順になっている。
 次に,船便通常郵便物については「カレンダー」,「定期刊行物」,「商品」,「パンフレット」,「通信文」,「書籍」の順に差出しが多く,船便小包郵便物では「商品」,「カレンダー」,「定期刊行物」,「書籍」,「パンフレット」の順になっている。

第2-1-30図 年度別外国あて通常郵便物数

第2-1-31図 年度別外国あて小包郵便物数

第2-1-32図 年度別外国来通常郵便物数

第2-1-33図 年度別外国来小包郵便物数

第2-1-34図 本邦発着外国郵便物の地域別構成

第2-1-35図 外国通常郵便物の種類別構成

第2-1-36図 外国あて郵便物発送回数

 

 

 

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