昭和49年版 通信白書

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2 万国郵便連合(UPU)

(1) 概 要
 万国郵便連合(加盟国153)は,国際連合の専門機関の一つであり,郵便業務の効果的運営によって諸国民間の通信連絡を増進し,かつ,文化,社会及び経済の分野における国際協力の発展に寄与することを目的とする政府間国際機関である。UPUには,その最高機関として全加盟国の代表者をもって構成する大会議があり,また,常設機関として執行理事会,郵便研究諮問理事会及び国際事務局がある。大会議は原則として5年に1回開催され,UPUの条約類を検討し改正するが,UPU創設100年を記念する第17回大会議は,1974年5月22日から7月5日までスイスのローザンヌで開催される。
 我が国は,現在,執行理事会及び郵便研究諮問理事会の理事国である。また,国際事務局に職員2名が出向している。
(2) 執行理事会(CE)
 執行理事会は,大会議から大会議までの間においてUPUの事業の継続を確保することを任務とし,UPUの年次予算,国際事務局の人事等の審査及び承認を行うほか,大会議から付託されたUPUの組織,運営及び国際郵便に関する問題について研究し,その結果を条約類の改正議案,決議案,勧告案として次の大会議に提出する。
 我が国は,1969年東京で開かれた第16回大会議でCEの議長国に指名され,1970年以降1年に1回UPUの所在地(ベルン)に理事国を招集して年次会議を主宰し,UPUの管理運営に直接関与の上,国際郵便業務の発展及び郵便に関する国際協力の増進のため指導的役割を果たしている。1973年の会議は,4月30日から5月24日まで,1974年の会議は2月7日から2月23日までベルンの国際事務局でそれぞれ開かれた。これらの会議において,我が国は,議長国として,人事委員会,UPU共済金庫理事会及び本会議の議事を主宰して東京大会議から付託されたすべての問題に結論を出し,ローザンヌ大会議に提出すべきCE議案約150件を取りまとめた。主要議案の中には,UPU経費の分担方法の改正案,国際事務局長及び同次長を大会議任命とする提案,通常郵便物の基本料金率の引上げ,定形郵便物の条件の追加,航空運送料率の現状維持案等が含まれている。また,過去5年間のCEの活動状況を取りまとめた総報告書案も承認されたので,我が国は,議長国の資格においてCEを代表して,ローザンヌ大会議においてCEの活動の全体につき報告を行い,大会議の承認を求めることになっている。この大会議のため我が国は加盟国の一員として,国際郵便の改善を目途とする議案を多数提出しており,また,CEの選挙にも再立候補する予定である。
(3) 郵便研究諮問理事会(CCEP)
 郵便研究諮問理事会は,郵便業務に関する技術上,業務上,経済上及び技術協力上の問題について研究を行い,郵便事業の近代化及び合理化に貢献することを任務とするUPUの常設機関であり,原則として1年に1回ベルンで会合することになっている。1973年CCEP会議は,11月5日から11月16日までベルンで開催され,我が国も理事国の一員としてこの会議に参加した。CCEPは,東京大会議から付託された36件の研究課題のそれぞれにつき作業部会を設けて研究を行っており,我が国は,合計15の作業部会に参加して加盟国の郵便事業の発展に寄与するとともに,我が国の郵便事業の改善のためにも有益な情報を得ている。特に郵便作業の機械化及び自動化,郵便輸送手段の効果的利用等の分野において,我が国は,優れた研究成果を加盟国に提供し,高い評価を得た。
 1973年のCCEP会議では,過去5年間のCCEPの活動に関する総報告書案が承認されローザンヌ大会議に提出されることになったほか,今後5年間のCCEP活動計画案が検討され,現在6委員会に研究課題を分配しているものを,将来研究すべき問題については8の研究分野に分類し,それぞれの分野に委員会を設置する改正案を大会議に提出することが決定された。また,この会議で,ローザンヌ大会議に提出すべき国際郵便上の改正議案として,定形郵便物の条件の追加及び高価な物品の郵送の安全対策の2件が採択された。
 なお,ローザンヌ大会議では,我が国はCCEPの選挙にも再立候補する予定である。
(4) アジア―オセアニア郵便連合(AOPU)
 アジア―オセアニア郵便連合は,地域内における郵便業務の改善及び郵便上の協力関係の緊密化を図るために,UPU憲章に基づいて設立された限定郵便連合である。我が国は,その加盟国として特に技術協力の面でAOPUに積極的な貢献をしているが,郵便業務の面では域内あての船便書状及びはがきの料金を一般外国あてより40%引き下げている。
 1973年には,インドがAOPUへの加盟請求を行い,加盟国への諮問の結果承認され,8月30日からAOPU加盟国となった。このインドの加盟に伴い,我が国は,インドあて船便書状及びはがきの料金を40%引き下げた。このほか,1973年には英領ソロモン群島が加盟請求を行ったが,承認に必要とされる加盟国の3分の2以上の賛成を得られず,その加盟は認められなかった。

 

 

 

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