昭和49年版 通信白書

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第3節 郵便サービスの現状

1 昭和48年度の業務運行

(1) 業務運行
 48年度の郵便業務運行は,安定したサービスの確保のための努力にもかかわらず,前年度より円滑を欠く傾向が強くなった。従来から,大都市とその周辺部を中心とする特定の地域において,一部の郵便局がとかく業務運行を乱しがちではあったが,この年度に入ってからは,これが慢性化する傾向が生ずるとともに,従来余り問題のなかった郵便局においても労務事情が新たな業務運行の混乱につながるケースが多くなった。すなわち,春期闘争,それに引き続く東京での独自闘争,秋期年末闘争など大きな組合闘争が実施されていた時期に業務運行が大きく混乱したのをはじめ,労使関係の不安定さが増大していることを反映して,郵便業務繁忙期以外の時期においても一部の郵便局における能率ダウンや時間外労働の拒否によって,地域的に郵便物の流れが乱れたり,同一の郵便局の配達区域内で特定の地区のみの配達が極端に遅延するなどの傾向が顕著になってきた。
 特に,年間を通じて最大の郵便業務繁忙期である年末期には,全逓労組が能率ダウンや4次にわたるストライキなど違法な闘争戦術を行使したため,短期間に前例のない大量の未処理郵便物が発生することとなり,12月10日には,内務処理段階で約1,400万通,配達段階で約2,300万通の通常郵便物の滞留となった。また,国鉄の貨物輸送事情の混乱で小包郵便物の運送が困難となり,12月4日正午から12月6日までの間,遠距離あての小包郵便物の引受けを停止するなどの緊急措置がとられた。以上の結果,配達段階で,1日の平均配達物数(約3,000万通)の約3%に当たる100万通を超える滞留郵便物が発生した日が年度を通じて約200日もあり,46年10月に郵便日数表によって公表した標準送達日数どおりに送達できない郵便物が増加する状況となった。
(2) 標準送達速度の一部変更
 全国主要都市間の郵便物の翌日配達を確保するため,41年10月から速達郵便物のほか第一種定形及び第二種郵便物の航空機輸送を行っているが,郵便物は午後から夕方にかけて差し出されるものが多いため,夜間便も設けて送達している。しかし,大阪国際空港について,航空機騒音が社会問題化したのに対処し,49年3月1日から,同空港には午後10時から午前7時までの間,郵便専用機の発着を行わないこととした。これに伴い従来この時間帯に大阪国際空港に発着する郵便専用機によって運送されていた郵便物の送達速度が,表にあげるように半日ないし1日程度低下することとなった(第2-1-13表参照)。
(3) 年始の休配
 49年の年始には,元旦に約17億通,全体で約22億通の年賀郵便物を配達したが,例年と特に異なった点は,1月2日はじめて配達の休止を実施したことである。これは従来から年末年始には大量の年賀郵便物を扱うため,郵便関係職員は原則としてこの繁忙のピークを過ぎてから休暇を与えられていたのであるが,かねてから年始には休みたいという職員の希望があり,また,元旦には全体の80%近い年賀郵便物を配達することができ,一般郵便物は年間を通じて最も少ない時期であるので,利用者に与える影響は比較的少ないものと認められる等のことから実施に踏み切ったものである。
 この結果,1月3日以降の処理に相当の負担が生じ,休配の影響がほぼ解消したのは7日ごろとなった。
(4) 郵便物不着等の事故申告の状況
 郵便物の不着,内容品亡失,不法開ひ,誤配達及び遅延に関し利用者から申出があった場合は,郵便物事故申告処理制度により迅速に関係郵便局等を調査の上,その結果を利用者に知らせるとともに,規定に従って損害賠償等の措置を行っている。
 48年度における申告受付件数は11万2,316件で,前年度に比べ2万266件(22%)増加した。増加率の大きかった主な原因は,労働組合の長期にわたる激しい闘争により業務運行が著しく混乱したためと思われる。ちなみに,申告受付件数を内国郵便物の引受物数に対比すると,11万6,800通につき1件の割合となっている。
 申告の内訳をみると,事故の種類別では,「不着」が全体の95%を占めている。また,郵便物の種類別では,「普通通常」が全体の35%と最も多く,以下「書留通常」(32%),「普通小包」(27%)と続き,「書留小包」に対するものが6%と最も少ない。
 なお,解決件数の中には受取人に異常なく配達済み,差出人の差出漏れなど利用者側の思い違いによるもの,あて名の不記載や包装が不完全なためによる配達不能のものが含まれている。

第2-1-13表 東京中央郵便局掲出の郵便日数表(郵便物標準送達所要日数表)(1)

第2-1-13表 東京中央郵便局掲出の郵便日数表(郵便物標準送達所要日数表)(2)

第2-1-14表 郵便物事故申告受付件数等

 

 

 

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