昭和49年版 通信白書

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第2章 公衆電気通信

第1節 概   況

 昭和48年度は,その前半においては,前年度から引き続く経済の拡大基調に支えられ,電気通信の分野においても総じて事態は比較的平穏に推移していったといえよう。しかしながら,その後半においては,中東戦争を契機とする石油危機の発生等により,物価の異常な高騰,資源・エネルギーのひっ迫,一部日常生活物資の不足等の問題が生じ,これに対処するため,政府による強力な総需要抑制,金融引締め,省資源・省エネルギー等の施策が展開された。これに関連して通信の分野においても投資の繰延べ,電話帳用紙節減及び各種経費節減対策が実施され,更に年度後半に入ってからは収入にかげり現象が現れる等の暗い一面をのぞかせながら,49年度を迎えることとなった。
 このような状況の中で,国内電気通信の分野においては,48年度は,電電公社の「電信電話拡充第5次5ヶ年計画」が新たにスタートし,その初年度としての各般にわたる設備の拡充強化がなされた。
 すなわち,総投資額1兆1,681億円により,一般加入電話318万加入,公衆電話4万7千個等が増設されるとともに,新電話局533局,市外回線13万5千回線等の建設が行われた。この結果,48年度末における加入電話等の総数は2,563万加入,対前年度増加率14.1%となり,人口100人当たりの普及率は23.4加入となった。また申し込んでもすぐにはつかない積滞電話の数も48年度末では181万となり,47年度末の227万から大幅に減少するとともに,申込みから開通するまでに要する期間についても逐次改善されてきている。
 一方,サービスの多様化についても努力が払われ,ポケットベルサービス,テレホンサービス,道路通信サービスなどが引き続き拡充されるとともに,新たに電話ファクスサービスが開始された。
 また,48年度は前年度から進められていた電話通話制度の広域時分制への移行が8月の沖縄県における切り換えを最後に全国的に完了し,データ通信をはじめとする公衆通信回線の利用による多彩なサービスを提供する基盤が出来上ったということができよう。
 データ通信についても,その普及発展は着実であり,48年度においては,新たに各種システム10,公衆データ通信システム3がサービスを開始し,また特定通信回線7,288回線,公衆通信回線802回線が,それぞれ前年度より増加した。
 通信技術の開発については,ディジタルデータ交換網の研究実用化,新小型電話機の実用化,テレビ電話方式の実用化,高速ファクシミリ方式の実用化等16項目が重点的に進められているが,通信技術の開発はサービスの改善,投資効率の向上,省資源,省力化等に大きく寄与するところとなっている。
 ひるがえって事業経営についてみると,年度前半において好調な景気等に支えられて比較的順調な伸びを示してきた事業収入も,後半における経済混乱等の影響もあって,年度末に向かうにつれて低落傾向を見せはじめたが,年度決算では209億円(総収益の1.2%)の利益金を計上するものとなった。なお,近時住宅用電話の比重の増大に伴う総合1加入当たり収入単金の伸び悩み傾向,資材価格の高騰,職員の給与改善に伴う所要経費の増加等,経営を圧迫する諸要因が徐々に顕在化しており,今後における事業経営は楽観を許さないものとなっている。
 次に国際電気通信についてみると,近年における国際貿易の伸長,国際交流の活発化等を反映し,国際電話(648万度,対前年度56.1%増),国際加入電信(1,063万度,同32.5%増),国際電報(600万通,同6.8%増)ともに順調な伸びを示している。この傾向は,通信衛星,海底ケーブル等の国際通信手段の拡充や自動化の推進等の利便化と相まって,今後も引き続き強まるものとみられる。

 

 

 

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