昭和49年版 通信白書

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1 国際電気通信サービスの発展

(1) 国際通信量の増大
 大陸間通信量は第1-4-1図にみるとおり,急激な増大を続けている。1970年の電話及び加入電信の通信量は1962年に比べ,それぞれ8.5倍,7.7倍になっている。特に1966年から1970年に至る最近5か年間の年平均伸び率をみると,電話約35%,加入電信約30%に達し,国際貿易量,国際観光客数の伸びをはるかに上回る勢いで増加している。また,主要国における国際電話の通話回数の推移をみると第1-4-2図のとおり,各国とも1970年には1966年の倍以上になっている。
 我が国の国際通信量も増加の一途をたどっている。電話,加入電信とも41年度以降年平均伸び率は35%と米国,欧州諸国をはるかに上回っており,48年度には電話632万度,加入電信1,036万度に達している。一方,電報は横ばいの状態で48年度は595万通にすぎない。このことは利用の主流が電報から電話,加入電信へと移ってきたことを示している。
(2) 自動化の進展
 電話及び加入電信にあっては自動化が進展し,発信着信両国の交換手が介在して接続する手動交換から,発信国の交換手が着信国の加入者を直接呼び出す半自動交換,更には発信国の加入者が自らダイヤルにより直接相手を呼び出す完全な自動交換が行われるようになってきている。
 加入電信の自動交換は1954年にベルギーとスイスの間に始まり,1963年には大西洋を横断して米国とベルギーの間でも開始され,その後,世界中に急速に進展していった。現在,世界主要国相互間の加入電信のほとんどが自動交換により行われており,更に自動交換網が世界のすみずみまで及びつつある。
 我が国の加入電信においては,昭和44年に米本土及びカナダとの間で自動交換が開始された。その後,自動化を積極的に進め,48年度末で自動接続が可能な国は54か国(60対地)となり,自動接続により行われる通信は全発信数の94.2%に達している。
 電話の自動交換は1963年,ベルギーとフランスの間で開始された。欧州諸国間の通話は各国国内網の整備に伴い,自動化が着々と進められ,現在そのほとんどが自動により行われるようになってきている。大陸間通話の自動化は1970年になってようやくニューヨーク市の一部と英国の間で開始された。その後,欧州諸国と米国,カナダ間,米国と日本間等が自動化され,また,各国国内の自動通話可能地域の拡張が行われており,大陸間通話も含め,各国の国際通話の自動化は漸次進んでいる。現在,米国,西独,ベルギー,スイス,オランダ,イタリア及びフランスが我が国への通話を自動化している。
 我が国は48年3月,米本土(アラスカを除く。),ハワイ,西独,スイスに対し,自動交換を開始した。その後,欧州の10か国が追加され,48年度末現在,14か国に自動通話が可能となっている。しかし,我が国において自動発信が可能な地域が東京,大阪,名古屋の一部に限られているため,48年度における自動通話の全発信通話数に占める割合は0.3%にすぎず,国際通話量の増大とサービス向上の要請に対処するため,自動化を強力に推進する必要に迫られている。
(3) 新しい通信サービスの開始
 国際公衆電気通信は歴史の古い電報に加え,電話,加入電信,専用線とそのサービスを拡大してきた。現在では,これら在来の通信サービスに加え,種々の新しい通信サービスが提供されるようになってきている。国際ファクシミリ,国際テレビジョン伝送等はその一つであるが,とりわけ電子計算機の発達に伴い,データ通信関係のサービスの発展が著しい。
 高速度でデータの伝送が可能な高速度専用線の賃貸業務,加入形式でデータの伝送を行うデーテルサービスが各国で開始され,また,米国RCA会社のAIRCONや英国郵電公社のコリンズ・システムなど,電子計算機を使った専用線のメッセージ自動交換サービスも提供されはじめた。
 我が国においては,45年に2,400b/sまで伝送できる高速度専用線の賃貸業務,46年に国際デーテル,更に48年にはメッセージ自動交換サービス「国際オートメックス」が開始された。
 現在,これらの新しい通信サービスを利用して,商社,航空会社等が世界を結ぶデータ通信システムを形成し,また,米国の企業は国際的な電子計算機の商用タイムシェアリングサービスを開始している。更に,各国の銀行を結んだ共同のデータ通信システムが検討されはじめるなど,データ通信に対する需要はますます高まっており,データ通信関係の通信サービスは今後ともなお一層発展するとみられる。

 

第1-4-1図 大陸間通信量の推移

 

第1-4-2図 主要国国際電話利用状況

 

第1-4-3図 我が国の国際通信量

 

第1-4-4図 我が国加入電信の自動接続率

 

 

 

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