昭和49年版 通信白書

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第1節 通信と資源・エネルギー

1 通信における資源・エネルギーの節約

 我が国の公衆電気通信における資源消費量についてみると,第1-3-1表のとおりである。
 これによると,電線等の材料に使用する銅,塩化ビニールの消費量は比較的大きいが,石油等のエネルギー関連資源の消費量は少ないといえよう。
 電気通信事業においては,従来からもより少ない設備で,より多くの情報を伝えることに多くの研究努力が払われてきたが,特に最近における電気通信技術の目覚ましい発展は,資源消費量を大幅に減少させてきている。
 伝送技術を例にとると,周波数のより高い帯域を使用して多重化を図り従来の数倍〜数十倍のチャンネルをとるとともに,同軸ケーブルを多心化することにより設備の効率化を図ってきた。また,市内ケーブルの細心多対化,局間中継ケーブルへのPCM方式の適用等によって,新しい管路の敷設という設備投資を省いてきた。
 また,電話の交換機として従来のステップ・バイ・ステップ式交換機に代えて,クロスバ交換機や電子交換機を開発,実用化することにより,交換機を設置するためのスペースの節約等を可能としてきた。更に伝送機器や端末機器のIC化も急速に進展してきており,この面からも資源・エネルギーの節減が図られている(第1-3-2図参照)。
 更に,クロスバ交換機等の電気的接点に用いられてきた白金属元素の一つであるパラジウム資源の節減対策として,これに銀を加えて合金化した銀パラジウムの実用化についても成功している。
 このように電気通信の分野においては従来からも多くの研究が省資源に寄与してきているが,特に48年秋以降における資源・エネルギー危機を契機に資源の効率的利用のための通信関連技術の研究,実用化がより一層進められるようになった。
 現在,実用化に向けて研究開発が進められているものとしては,アルミ導体ケーブルがある。これは従来,通信ケーブルに重用されてきた銅資源の節減対策として考えられたもので,世界的に枯渇化の傾向にある銅に代えて,豊富なアルミニウムを電気の導体として使用するための技術の開発を目的としたものである。また太陽電池による電源方式や,風力による発電,波力による発電などの電源方式についても調査研究が開始されている。

 

第1-3-1表 公衆電気通信における資源消費量(昭和47年度)

第1-3-2図 伝送機器の進歩とその効果

 

 

 

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