昭和49年版 通信白書

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3 郵便の利用動向

 郵便はだれに,どのような目的で利用されているのだろうか。郵政省では48年9月,普通通常郵便物について全国的な規模で「郵便利用構造調査」を実施したが,調査結果のあらましは次のとおりである。
(1) 業務用として差し出される郵便物が全体の80%を占めている。
 郵便物が,差出人からみてその業務に関係するもの(以下「業務用」という。)であるか,その業務に関係のないもの(以下「私用」という。)であるかに分けてみると,80.5%が業務用であり,私用は19.5%である。44年に行った類似の調査では,差出人からみて業務用が70.9%,私用が29.1%となっており,この間に郵便利用構造が変動してきている。これは,郵便物数の増加が業務用通信の増加に支えられてきたためである。
 これを受取人からみて業務用であるか私用であるかを組み合せてみると,差出人からみて業務用郵便物は,受取人からみると業務用と私用がそれぞれ同程度になっているのに対し,差出人からみて私用であるものは,その90%が受取人からみても私用となっている。
(2) 差出物数の第一位は卸・小売業である。
 産業別の差出物数をみると,第2-1-10図のとおり,卸・小売業の差出しが最も多く全体の20.8%を占め,この卸・小売業と印刷・出版業,金融・保険業,サービス業の4産業で全体の約50%を占めている。
 各産業から差し出される郵便物のあて先をみると,各産業とも平均して私人あてが50%程度を占めているが,農林水産業,建設業,製造業(印刷・出版を除く。)の3業種はその割合が低くなっている。
 また,産業相互間でみると,印刷・出版業の例外を除いて,同一産業あての割合が高い。
(3) 郵便の利用目的は,ダイレクトメール,金銭関係がそれぞれ19%で上位を占めている。
 郵便物の利用目的をみると,全体では,第2-1-11図のとおり,消息・各種あいさつ,いわゆる安否通信は13.7%にすぎず,ダイレクトメール,金銭関係が19%ずつと最も多い。
 これを差出人からみて,業務用及び私用別にみると,私用の場合は消息・各種あいさつが54%を占めているが,業務用の場合はダイレクトメール(23.8%),金銭関係(21.7%)を筆頭にその利用目的は多様である。
(4) 形状別には,その利用目的は多彩である。
 郵便物の形状別にその利用目的を示したのが第2-1-12図である。
 帯封などの郵便物はその大半が新聞,雑誌・書籍で占められているが,封筒やはがについては幅広くいろいろな目的に使われている。
 封筒やはがきの利用目的のうち上位のものをみると,[1]ダイレクトメールは封筒がより多く使われていること,[2]はがきは消息・各種あいさつ,行事・会合案内など比較的簡便な通信に使われていることが特色となっている。
 また,金銭関係については,過去の類似の調査(44年3月)と比較してみると,大きな動きがある。すなわち,私人にあてられる業務用郵便物全体に占める金銭関係郵便物の割合は,44年には10.4%であったものが,48年には19.9%に増加し,それを形状別にみるとはがきを利用するものが大幅に増えている。このように金銭関係の郵便物,とりわけ私人あてのはがきが増加した理由として,近年,電気,ガス,水道,電話,放送等の料金を金融機関の振替口座を利用して支払う方式が広く一般家庭にまで普及し,それに伴う領収書,請求書等が増加したことが考えられる。

 

第2-1-9表 郵便物の利用状況

 

第2-1-10図 差出人の産業別構成

 

第2-1-11図 郵便物の利用目的

 

第2-1-12図 形状別利用目的

 

 

 

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