昭和49年版 通信白書

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1 データ通信回線使用契約に関する事項

 データ通信回線使用契約は,電電公社又は国際電電が提供する電気通信回線の種類により,[1]利用者が,希望する特定の区間に特定の規格の電気通信回線の提供を受け,これに自己の設置する電子計算機等を接続して専用的に使用する契約(特定通信回線使用契約),[2]利用者が,加入電話の電話回線又は加入電信の電信回線の提供を受け,これに自己の設置する電子計算機等を接続して使用する契約(公衆通信回線使用契約)に区別される。
(1) 特定通信回線の提供開始
 特定通信回線の提供は,46年9月1日に全国いっせいに実施された。従来,民間企業等がデータ通信システムを設置する場合は専用契約による電気通信回線(専用線)を利用していたが,同日以降,電子計算機等を接続する電気通信回線は,特定通信回線として取り扱うこととした。特定通信回線の他人使用及び共同使用については,データ通信がデータの伝送と処理を一体的に行うものであることにかんがみ,専用線の場合に比べその制限を大幅に緩和した。
 これに伴い,計算センター,情報センター等がオンラインにより情報処理,情報提供を行うために特定通信回線を他人である顧客に利用させることが可能となり,情報通信事業の誕生する制度上の基盤が作られた。また,2以上の企業グループ等が特定通信回線を共同利用し,販売在庫管理,預金受払,座席予約等を提携して行うことが可能となった。
 その後,特定通信回線の利用制度に関し,次の改善を行った。
ア.電電公社が提供するD-9規格(4,800b/s)の新設(48年4月)
イ.国際電電が提供する音声級回線の利用条件の改正(48年4月)
  音声級回線の分割使用は,従来他人使用・共同使用の形態をとる場合は認められていなかったが,これを認めることとし,回線のより効率的な使用を可能とした。
ウ.電電公社が提供する<1>規格(48kHz)及びJ規格(240kHz)の利用者範囲の制限廃止等(48年11月)
(ア) <1>規格及びJ規格の利用は,従来,国の機関,新聞社等,一定の範囲に限定していたが,この制限を廃止し,広く一般に利用できることとした。
   このことに伴い,いわゆる通信回線開放のための一連の措置がひとまず完了した。
(イ) <1>-3規格(48kb/s)の新設
(ウ) <1>-1規格(帯域使用)及びJ-1規格(帯域使用)の料金改正
(エ) D-1規格(帯域使用)の分割使用は,従来電話と50b/s以下の符号伝送等の場合にのみ認められていたが,技術上支障がない限り自由に分割して使用することができることとした。これにより,例えばD-1の回線からC-2(200b/s)の回線を6回線作成することが可能となった。
(2) 公衆通信回線の提供開始
 公衆通信回線については,加入電話の電話回線を使用するものを電話型回線,加入電信の電信回線を使用するものを電信型回線と区別している。
 なお,国際電電には加入電話の制度がないので,電話型回線の提供は,電電公社に限られている。
 電信型回線の提供は,47年11月12日に全国いっせいに実施した。電話型回線の提供は,同日以降地域ごとに施行した電話料金の広域時分制への移行と同時に逐次実施してきたが,48年8月26日に広域時分制への移行が完了したことに伴い,電話型回線の全国的な利用が可能となった。
 公衆通信回線の提供開始と同時に,加入電話の電話回線及び加入電信の電信回線そのものにデータ通信用の端末機器を接続すること,加入電信の宅内装置をそのままデータ通信用の端末機器として使用すること,電話機の送受器に音響結合装置により端末機器を結合すること等,データ通信の広範かつ多彩な利用を可能とする制度的措置を行った。

 

 

 

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