昭和49年版 通信白書

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4 郵便作業の機械化

 郵便の作業は,その性質上人力に依存する度合いが高い。特に局外作業については機動車や自動車により運搬作業の能率化を図ることができても,ポストから郵便物を取り集めたり各戸ごとに配達する作業自体を機械化することによって能率化を図ることは難しい。したがって郵便作業の機械化は,最近の技術の発達とともに局内作業を中心として行われており,省力化が図られている。
(1) 引受け・区分
 ポスト等から取り集めた郵便物を形状により選別したり,取りそろえたり,切手を消印したり,あて先別に区分けしたりする作業は,郵便物の形状が多種多様であったこと等から機械化になじみにくいものとして人力に依存してきたが,41年に創設した定形郵便物の制度と43年から実施された郵便番号制により郵便物の形状とあて先についての情報表示が規格化されるとともに,科学技術の飛躍的な発展に支えられ42年〜43年の間においてこの分野の機械化に成功した。
 機械化の内容は,ポスト等から取り集められた郵便物のうち手紙やはがき等の形の整った郵便物を自動的に選別し,切手の位置に合わせ上下,表裏を取りそろえ,1時間に2万5千通のスピードで切手類を消印し,速達,普通の扱い別に集積する「郵便物自動選別取揃押印機」とこれらの郵便物を1時間に2万2千通のスピードで100ないし150方面に区分する「郵便番号自動読取区分機」であり,更にその後これら両機種の自動連結にも成功し,郵便物の選別,取りそろえ,押印から区分まで一貫した機械処理を行えるようになった。
 これらの機械類については,43年以降全国主要郵便局を対象に配備を進め,48年度においても「郵便物自動選別取揃押印機」は14局に14台,「郵便番号自動読取区分機」は10局に10台,また両機種の「自動連結機」は11局に12台の増備を行った結果,48年度末現在の全国総配備台数は「郵便物自動選別取揃押印機」は74局に91台, 「郵便番号自動読取区分機」は52局に81台,また両機の「自動連結機」は29局に37台に達している。また機械の性能面についても逐次改良を加えてきた結果,郵便番号自動読取区分機の区分率(番号記載郵便物に対する区分処理率)も最近では90%以上に向上した。
 しかしながら,これらの機械を配備することにより郵便物処理の効率化を図ることのできる郵便局は,取扱量の多い大都市等に所在する主要局に限られ,現在機械により処理している郵便物も1日の全国総引受物数に対し20%にすぎない。今後更にこの面の機械化を推進していくためには,できるだけ郵便物を集中し機械処理を可能にしていくシステムを取り入れる必要がある。
(2) 機械化局の設置
 郵便利用の集中する東京,大阪の両都市内における処理の円滑化を図るため,小包や大型通常郵便物等かさ高のものを別々に集中して処理する専門局を4局(東京;小包集中局2局,通常集中局1局,大阪;小包集中局1局)設け,同一種類の郵便物のみを取り扱うという特殊性を生かし,局内全般にわたり徹底した搬送,区分作業の機械化を行い効果をあげている。また,特に取扱物数の多い主要局に対しても取扱内容に応じ搬送及び小包区分関係を中心に大型の各種機械を取り入れており,機械化局は18局となっている。48年度に新設又は新築された郵便局のうち浜松西,日本橋,金沢中央,仙台中央の各郵便局には最新の技術を取り入れた各種新鋭機を設備している。
(3) その他の機械化
 局内作業としては,以上に述べたもののほか,窓口事務や作業工程に従って行う必要のある郵便物の受渡し,物数検査,記録書の作成等多くの作業がある。
 これらの分野についてもできる限り省力化を図るため,その作業に応じた機器類の開発を進めており,47年度までに実用化したものに「定形用配達証作成機」「書状自動押印機」「郵便物は束機」及び「郵便物計数器」が,また窓口事務関係として「郵便料金計器」「別納料金受領証作成機」「郵便切手発売機」及び「郵便はがき発売機」等がある。48年度においては,記録を主とした証拠書類作成という単純作業の機械化に力を注いだ結果,書留通常郵便物のすべてについて,配達証を作成する「配達証作成機」定形書留郵便物の配達証作成と送達証の作成を兼用できる「配達証送達証作成機」の実用化(いずれも郵便物の表面を転写し所要の書類を作成するもの)に成功し,全国主要郵便局を対象に前者については33局に,後者については26局にそれぞれ1台ずつ配備した。これにより従来手作業により相当の手数を要していた書留通常郵便物の配達局段階及び中継局段階における証拠書類の作成事務が機械化されたわけで,この面の省力化に成果をあげている。

 

 

 

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