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第2部 基本データと政策動向
第4節 放送政策の展開

(2)放送コンテンツの海外展開

放送コンテンツの海外展開は、訪日観光客の増加や地域産品の販路拡大といった経済波及効果が見込まれ、またソフトパワーを通じた日本に対するイメージ向上にも寄与し、外交的な観点からも極めて重要である。総務省では、放送コンテンツの海外展開をサポートする官民連携の横断的組織である「一般社団法人放送コンテンツ海外展開促進機構(BEAJ(ビージェイ)6)」や関係省庁等とも連携しながら、日本と海外の放送事業者等が、日本の魅力を発信する放送コンテンツを共同制作し、海外で放送する取組を継続的に支援している。また、2019年(令和元年)10月のMIPCOM(仏国・カンヌ)、同年11月のTIFFCOM(東京)、同年12月のATF(シンガポール)等のコンテンツ国際見本市において、放送事業者のブース出展支援を行ったほか、海外バイヤーとのネットワーキング作りのためのイベントを開催した。

放送コンテンツの海外展開については、「2020年度までに放送コンテンツ関連海外売上高を500億円に増加させる」ことを目標に掲げ、2010年度以降、毎年増加を続け、2018年度末で519.4億円(対前年度比16.9%増)となり、目標である売上高500億円を2年度前倒しで達成した。今後は、「2025年度までに放送コンテンツの海外販売作品数を5,000本に増加させる」ことを新たな目標として掲げ、達成に向けて取組を一層強化している(図表6-4-4-1)。

図表6-4-4-1 放送コンテンツの海外展開の促進

政策フォーカス 放送インフラにおける安全・信頼性の確保

放送は、日頃から国民生活に必需の情報をあまねく届け、また災害や国民的な関心事に関する重要な情報を広範な国民に対し瞬時に伝達できるという極めて高い公共性を持つことから、高い安全・信頼性が求められる。2011年(平成23年)6月に施行された改正放送法によって、放送停止事故の防止等、安全・信頼性を確保し、放送の公共的役割をより十全に発揮させることを可能とする観点から、認定基幹放送事業者及び登録一般放送事業者等に対し、放送設備を一定の技術基準に適合するよう維持しなければならない義務を課すとともに、設備に起因する重大な事故の報告等に関する規定が設けられた。これらの規定に基づき、総務省では重大な事故の発生時にはその原因を明らかにして再発防止を徹底させる等、積極的な取組を推進している。

また、重大な事故を含む全ての放送停止事故の発生状況について、認定基幹放送事業者、特定地上基幹放送事業者及び基幹放送局提供事業者は半年ごと、登録一般放送事業者は1年ごとに総務大臣に報告する規定も設けられた。総務省では、当該報告を基に、事故の発生原因や傾向を分析し公表しているほか、各種のセミナー等を通じて、安全・信頼性向上に向けた情報発信を行っている(図表1)。

図表1 放送停止事故の発生状況

近年、ICTを悪用したサイバーセキュリティ上の脅威が悪質化・巧妙化し、その被害が深刻化してきている。放送に求められる高い安全・信頼性を確保するため、サイバーセキュリティ戦略(平成30年7月27日閣議決定)を踏まえるとともに、東京2020大会への対応も見据え、放送設備のサイバーセキュリティ確保に関する技術的条件について、2019年(令和元年)7月より、情報通信審議会情報通信技術分科会放送システム委員会で検討を開始し、同年12月に情報通信審議会から一部答申を受けた。この答申を踏まえて、2020年(令和2年)3月、放送法施行規則(昭和25年電波監理委員会規則第10号)の改正等を行い、放送設備のサイバーセキュリティ確保に関する制度整備を行った(図表2)。

図表2 放送設備のサイバーセキュリティ確保のための具体的措置項目

放送設備の安全・信頼性に関する技術基準としては、2011年(平成23年)6月に整備した12項目に上述のサイバーセキュリティ対策を加えて、現在では13項目の措置が定められている(図表3)。

図表3 放送設備の安全・信頼性に関する技術基準の概要

その適用については、放送の種別(地上放送、衛星放送、有線放送)ごとに定められており、各放送種別においてその設備規模や故障等による受信者への波及度合いを考慮して、措置の範囲が定められている。例えば、事故により放送設備の損壊又は故障の影響を広範囲に及ぼす設備(番組送出設備、地上テレビ放送の親局や衛星放送の送信設備、大規模な有線テレビ放送設備)に対しては、放送の停止等を未然に防ぐ、又は即座に復旧させるための措置が必要である。一方、地上テレビ放送の小規模な中継局や小規模な有線放送設備等、放送の停止の影響を及ぼす範囲が限定的な設備に対しては、経済合理性の観点から主に事故の長時間化を防ぐための措置が必要とされている。

6 BEAJ: Broadcast Program Export Association of Japan(https://beaj.jp別ウィンドウで開きます

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