我が国が今後さらに成長し続けるためにはICTを活用した生産性向上や働き方改革が不可欠である。こうした認識が共有されつつある一方で、日本型の社会経済構造を変革することは容易ではない。我が国は1970年代から80年代にかけては「電子立国」と称されたものの、1990年代以降はインターネットの登場やモバイル技術の発展によりICTが更に大きな可能性をもたらすようになった中で、諸外国と比較してもグローバル化やICTの導入による企業体制の変更や働き方の変革に対応できてこなかった。東京2020大会は、我が国のICTをショーケースとして世界に示すチャンスであるだけでなく、これをきっかけとして日本型の社会経済構造を変革するチャンスでもある35。
2020年に向けて推進されてきた5GやAI、IoT、ロボティクス、4K8Kといった新たなICTの導入を一時的な対策とするのではなく、我が国におけるレガシー創出に向けた取組として定着させることで、我が国の持続的な成長につなげ、社会全体のデジタル化を実現することが可能となるだろう。
35 総務省(2018)「2020年東京大会に向けた提言」2020年に向けた社会全体のICT化推進に関する懇談会資料より