2015年頃から、ITUや3GPPにおいて、2020年の5G実現に向けた標準化活動が本格化した(図表1-2-1-1)。ITUでは、先に述べた「IMTビジョン勧告(M.2083)」が2015年9月に策定された。また、2019年10〜11月にエジプトで開催された世界無線通信会議(WRC-19)においては、5G等で使用することができる国際的な移動通信(IMT:International Mobile Telecommunication)用周波数の拡大に向けた検討が行われ、我が国については、候補周波数帯(24.25〜86GHz帯のうち11バンド)の中から、計15.75 GHzの帯域(24.25-27.5GHz、37-43.5GHz、47.2-48.2GHz、66-71GHz)が新たにIMT用の周波数として合意された。
また、3G以降の移動通信システムの仕様検討、標準化を行っている3GPPでは、2017年6月公表のリリース14において、5Gの要求条件、展開シナリオ、要素技術等の基本調査を実施し、2018年6月公表のリリース15では5Gのうち、超高速(eMBB)及び超低遅延(URLLC)に対応した最初の仕様を策定した。今後リリース16(2020年6月公表予定)では、多数同時接続(mMTC)を含む全ての技術性能要件に対応した仕様を策定することとなっている。
国際標準化活動が進む一方で、主要国・地域において、産学官連携による5G推進団体が設立された(図表1-2-1-2)。我が国においても2014年9月に第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)が設立されている。5GMFでは、5Gの実現に向けて、要素技術や要求条件のとりまとめ、研究開発の推進、他の5G推進団体との情報共有や国際連携の強化、実証試験等の取組を行ってきた。