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第1部 5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築
4 5G時代を支えるデータ流通とセキュリティ

4 5G時代を支えるデータ流通とセキュリティ

社会全体のデジタル化の進展により、現実世界のあらゆる場所において生成された膨大なデジタルデータが、通信インフラを経由してサイバー空間に蓄積されている。蓄積されたビッグデータはAIによって解析され、得られた結果はデジタルサービス・アプリケーションを通して現実世界にフィードバックされる。フィードバックされた結果から業務の効率化や利便性の向上、新たな価値の創造といったアウトカムが生み出され、様々な社会的課題の解決へとつながるデータ主導社会が構築されることとなる。

我が国の企業においても、IoTデバイスの普及により、様々なデジタルデータの取得が容易となったことで、事業活動を通じて取得したデジタルデータを活用した業務効率の向上や意思決定の迅速化・正当化が進んでいる。他方、欧米と比較した場合、我が国の企業におけるデジタルデータの活用は未だ途上の段階にあると言えよう。

我が国でデジタルデータの活用が進まない理由としては、専門人材の不足、データフォーマットのばらつきなどによるデータの収集・管理に係るコストの負担、といった点が挙げられる。また、デジタルデータの中でも個人に関する情報(パーソナルデータ)の活用については、データを提供する側の個人には、パーソナルデータを提供することへの不安感が根強く存在しており、また、提供を受ける側の企業には、漏えいのリスクや社会的責任の大きさからパーソナルデータの活用を躊躇する傾向がある。

他方、大規模災害時などにおける公共目的での利用や、企業等の事業目的の活用でも提供者自身にとってメリットがある場合には、データを提供しても良いと考える人は多く、実際に、SNSやECサイトの登録時にはパーソナルデータの提供が行われているほか、情報銀行やスコアリングサービスといった新たなサービスが登場し、利用者を増やしつつあるなど、以前と比較するとパーソナルデータの活用は進みつつある状況にある。

デジタルデータの流通量は、移動通信システムの高速・大容量化に伴うデジタルコンテンツの大容量化やIoTデバイスの普及などにより増加の一途をたどっている。5Gの登場によって、さらなるリッチコンテンツの流通拡大やIoTデバイスのあらゆる場面への導入が促され、データ流通量のさらなる増加へとつながっていく。新型コロナウイルス感染症の拡大を契機とした様々な産業・分野におけるデジタル化の進展は、この傾向に拍車をかけることとなる。増加するデジタルデータが新たな価値の源泉となることで、データ主導社会もまたさらなる進化を遂げるだろう。

なお、5Gの時代には、従来のネットワーク構造とは異なる特徴であるネットワーク機能の仮想化・ソフトウェア化やモバイルエッジコンピューティングの利用の進展や、産業用途のIoT機器の増加により、新たなサイバーセキュリティリスクが想定される。さらに、情報通信機器・サービスに係るサプライチェーンのグローバル化が著しく、サプライチェーンリスクも顕在化している。安全・安心なICT利用環境を整備する観点から、これらリスクへの対応も求められる。

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