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第2部 基本データと政策動向
第10節 郵政行政の展開

第10節 郵政行政の展開

1 郵政行政の推進

総務省は、郵政事業のユニバーサルサービスを将来にわたって安定的に確保するための制度の適切な実施及び方策の検討を行うとともに、郵便局を国民生活の安心・安全の拠点として活用するため、利用者の目線に立った新たな事業の展開及び郵便局の利便性の向上を促進している。

2018年(平成30年)6月に、郵政事業のユニバーサルサービスの提供を安定的に確保するため、郵便局ネットワークの維持の支援のための交付金・拠出金制度(図表6-10-1-1)が創設され、2019年(平成31年)4月から制度運用が開始された。独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構が、交付金の交付、拠出金の徴収等を実施している(2020年度(令和2年度)における日本郵便への交付金の額:約2,934億円、拠出金の額:ゆうちょ銀行が約2,374億円、かんぽ生命保険が約561億円)。

図表6-10-1-1 郵便局ネットワークの維持の支援のための交付金・拠出金制度

また、少子高齢化、人口減少、ICTの進展等の社会環境の変化に対応した郵便局の利便性向上策を検証するため、総務省では、情報通信審議会(郵政政策部会郵便局活性化委員会)からの答申1を踏まえ、2019年度(令和元年度)から、「郵便局活性化推進事業(郵便局×地方自治体等×ICT)」(図表6-10-1-2)を実施している。本事業では、あまねく全国に存在する郵便局と地方自治体等が連携し、地域の諸課題解決や利用者利便の向上に資する実証事業を行っており、2019年度(令和元年度)は、ICTを活用したみまもりサービス及び観光情報等の発信(岩手県遠野市)、買い物サービス支援(新潟県津南町)、農家の農作物配送支援(静岡県藤枝市)を実施した。2020年度(令和2年度)は、新たな実証内容や地域において実施することで、郵便局と地方自治体等の連携のあり方についてのモデルケースを創出し、全国への普及展開を行っていく予定である。

図表6-10-1-2 郵便局活性化推進事業(郵便局×地方自治体等×ICT)

さらに、郵便サービスのあり方について、2019年(令和元年)9月、情報通信審議会(郵政政策部会郵便局活性化委員会)から、普通扱い郵便物の配達頻度の見直し(土曜日配達休止)や送達日数の見直し(翌日配達廃止)等を求める日本郵便株式会社の要望について、郵便サービスの将来にわたる安定的な提供を確保するために必要な見直しであり、電子メール等のICT化の進展といった郵便サービスを取り巻く社会環境等の変化や、個人の郵便利用頻度の減少、eコマースの拡大に伴う荷物需要の増加といった郵便の利用者ニーズの変化の状況を踏まえると、利用者の利便が看過し得ない程度まで損なわれるとは考えられないことから、国民に対し丁寧に理解を求めていくことによって、今回の見直しの実施は可能と考える旨の答申を得た。今後、本答申を踏まえて、これらの制度見直しを含め必要な対応をしていくこととしている。

また、2019年(平成31年)4月、利用者の利便性を向上させる観点から、ゆうちょ銀行の預入限度額について、通常貯金と定期性貯金の預入限度額を別個に設定し、それぞれ1,300万円ずつとする見直しを行った。

さらに、2019年、株式会社かんぽ生命保険の商品販売等に関して、保険料の二重払い等、利用者に不利益を与えた不適正募集が多数発生していることが明らかになった。総務省としては、2019年12月、日本郵政株式会社法及び日本郵便株式会社法に基づき、日本郵政株式会社に対して業務改善命令を、日本郵便株式会社に対して業務停止命令(利用者からの自発的な意思表示を受けて行う保険募集を除く。2020年1月1日から同年3月31日まで。)及び業務改善命令を、それぞれ発出する措置を行った2。2020年3月以降3か月毎の定期的な報告を求め、日本郵政グループにおいて、改善策が確実に実施されるよう、必要な監督を行っていく予定である。



1 「少子高齢化、人口減少社会等における郵便局の役割と利用者目線に立った郵便局の利便性向上策」(2018年7月):https://www.soumu.go.jp/main_content/000563794.pdfPDF

2 「かんぽ生命保険の不適正募集に係る一連の問題に関する監督上の命令等」:https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu13_02000069.html別ウィンドウで開きます

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