総務省トップ > 政策 > 白書 > 令和2年版 > 各種データから見る移動通信の普及状況
第1部 5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築
第1節 新たな価値を創出する移動通信システム

1 各種データから見る移動通信の普及状況

本項では、我が国における移動通信システムの普及状況について、加入契約数の変遷、移動通信トラヒックの伸び具合、家計における支出状況及びモバイル機器によるインターネット利用状況といった指標を通して、我が国において移動通信システムが人々の生活に不可欠な基盤として定着するまでの過程を概観する。

ア 移動通信システムの契約数

固定電話(加入電話)の契約数が1996年を境に減少傾向に転じたのに対し、携帯電話の契約数は、制度改革(端末売切制度の導入、料金認可制の廃止)が行われた後に急速に伸長し、2000年には、固定電話(加入電話)の契約数を超えるに至った。その後も契約数は増加し、2019年9月末時点では契約数が約1億8千万以上に達し、人口普及率は142%となっている(図表1-1-1-1)。

図表1-1-1-1 通信サービス加入契約数の推移
(出典)総務省報道発表資料(2019)「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データの公表(令和元年度第2四半期(9月末))」及び住民基本台帳を基に作成
「図表1-1-1-1 通信サービス加入契約数の推移」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら
イ 携帯電話利用環境の整備(不感地域の解消)

携帯電話事業者は、基地局の未整備等により携帯電話を利用することのできない、いわゆる不感地域の解消に努めてきた。総務省も不感地域の解消を補助金等の政策ツールによりこれまで後押ししてきた。その結果、2019年3月末時点で、我が国における携帯電話のサービスエリアは、居住人口(人口カバー率)で99.99%に達した。サービスエリア外の居住人口(エリア外人口1)は、全国で1.3万人となっており、10年前と比較して10分の1以下にまで減少する結果となっている(図表1-1-1-2)。

図表1-1-1-2 携帯電話のサービスエリア外人口の推移
(出典)総務省作成資料
ウ 移動通信トラヒックの状況

我が国全体の移動通信トラヒックは、2019年9月時点で月平均3529.8Gbpsとなっており、3年前(2016年9月)のトラヒックと比較して約2.3倍に増加している。特に最近1年では約1.2倍に増加している(図表1-1-1-3)。4Gが導入されて以降、携帯電話事業者も大容量コンテンツ利用に対応した料金プランを提供するようになり、利用者が大容量コンテンツをより一層利用しやすい環境が整ったことが要因として考えられる。

図表1-1-1-3 移動通信トラヒックの推移
(出典)総務省(2019)「我が国の移動トラヒックの現状(令和元年9月分)」
「図表1-1-1-3 移動通信トラヒックの推移」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら
エ 家計における移動通信への支出

電話通信料2の支出額は2019年で12万2,741円となっており、2010年と比較して10.8%増加している。中でも移動電話通信料は2019年で10万3,466円と、2010年と比べて29.5%の増加となっている(図表1-1-1-4)。家計の消費支出全体に占める移動電話通信料の割合は、2019年は3.45%であり、2010年の2.64%に比べて大きくなっている(図表1-1-1-5)。

図表1-1-1-4 電話通信料の推移
(出典)総務省「家計調査(総世帯)」各年版を基に作成
「図表1-1-1-4 電話通信料の推移」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら
図表1-1-1-5 消費支出に占める移動電話通信料の割合
(出典)総務省「家計調査(総世帯)」各年版を基に作成
「図表1-1-1-5 消費支出に占める移動電話通信料の割合」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら
オ モバイルによるインターネット利用の拡大
(ア)インターネット利用時におけるモバイル機器利用率

1997年に携帯電話向けインターネット接続サービスが提供されて以降、インターネットへの接続にモバイル端末を利用する者の割合は急速に伸長し、2010年には、国内で初めてモバイル端末からのインターネット利用者数がパソコンからの接続者数を超えた。以降、年々その差は拡大傾向にあり、我が国におけるインターネット利用の中心はパソコンからモバイル端末へ移行しているといえる。また、2011年以降のデータについて、モバイル端末を携帯電話(フィーチャーフォン)とスマートフォンに分計した結果、スマートフォンによるインターネット利用率の上昇と対照的に携帯電話によるインターネット利用率は下降している(図表1-1-1-6)。

図表1-1-1-6 インターネットを利用する際の利用機器の割合3
(出典)総務省「通信利用動向調査の結果」各年版を基に作成
「図表1-1-1-6 インターネットを利用する際の利用機器の割合」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら
(イ)モバイル機器によるインターネット利用時間

インターネット平均利用時間を見ると、その変化はより顕著である。パソコンからのインターネット利用時間は横ばい4であるが、モバイルからのインターネット利用時間(フィーチャーフォン又はスマートフォンのいずれかでインターネットを利用した時間)は年々増加している。(図表1-1-1-7

図表1-1-1-7 主な機器によるインターネット平均利用時間 (平日・全年代)
(出典)総務省情報通信政策研究所(2019)「平成30年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
「図表1-1-1-7 主な機器によるインターネット平均利用時間」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

また、モバイルからのインターネット平均利用時間を世代別に見ると、若年層と高年層とでは、利用時間には大きな開きが見られるものの、いずれの年齢層においても、利用時間はおおむね増加傾向にあることがみてとれる(図表1-1-1-8)。

図表1-1-1-8 モバイル機器によるインターネット平均利用時間(平日・年代別)
(出典)総務省情報通信政策研究所(2019)「平成30年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」
「図表1-1-1-8 モバイル機器によるインターネット平均利用時間(平日・年代別)」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら

スマートフォンの利用者が増加していくにつれ、モバイル機器によるインターネット利用において、ソーシャルメディア、オンライン・ソーシャルゲーム、動画サイトの利用時間は大幅に増加している。特にモバイル機器によるソーシャルメディア及び動画サイトの利用時間は2012年から2018年までの6年間で約4倍にまで伸びている(図表1-1-1-9)。

図表1-1-1-9 モバイル機器によるインターネット利用項目別平均利用時間(単位:分)
(出典)総務省情報通信政策研究所「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」各年版を基に作成
「図表1-1-1-9 モバイル機器によるインターネット利用項目別平均利用時間(単位:分)」のExcelはこちらEXCEL / CSVはこちら


1 エリア外人口とは、平成27年国勢調査人口を基礎とし、平成30年度末時点で地方公共団体に対して実施したサービスエリア外地域の現状調査の結果を指す。

2 「電話通信料」とは、「固定電話通信料」と「移動電話通信料」を合計したもの。

3 利用率の算出に際しては、無回答も母数に加えている。なお、2019年調査は集計方法が異なり、かつ、無回答の割合が高いため、過年度との比較の際は注意を要する。無回答を除いた場合の各端末の利用率は、パソコン80.5%、モバイル端末94.0%、携帯電話18.8%、スマートフォン89.0%となる。

4 自宅での利用に限ると、パソコンでのインターネット利用時間は減少傾向にある。

テキスト形式のファイルはこちら

ページトップへ戻る