令和2年 情報通信白書のポイント
令和2年 情報通信白書のポイント
令和2年 情報通信白書のポイント
■構成
第1部 特集: 5Gが促すデジタル変革と新たな日常の構築
第1章:令和時代における基盤としての5G
- 5Gの概要、各国における周波数割当てやサービス開始状況といった基本的事項とともに、5Gの開始がもたらすデジタル経済の構造の変化について整理する。
第2章:5Gがもたらす社会全体のデジタル化
- ICTを活用した社会課題解決の取組と、2020東京大会に向けた社会全体のデジタル化の取組の状況を整理し、課題先進国である我が国における現状をまとめる。
- 新型コロナウイルス感染症が情報流通に与えた影響と、各分野における業務継続に向けた取組を取り上げ、顕在化してきた課題を整理するとともに収束後の社会を展望する。
- 5Gの実装が各分野(防災・交通(自動運転)・製造業・娯楽等)をどのように変革しうるか、国内外の事例を踏まえて考察する。
第3章:5G時代を支えるデータ流通とセキュリティ
- 個人及び企業のデータ活用に係る意識の変化を把握し、海外との比較を行うとともに、データ活用が企業活動に与える影響を調査する。
- 5G時代のサイバーセキュリティの在り方を、国際動向や利用者意識を踏まえて考察する。
第4章:5Gのその先へ
- 5G/IoT/AI等のイノベーションがもたらす、2030年代の我が国の社会像を展望するとともに、その社会像の実現に向けて必要なBeyond 5Gをめぐる国内外の動向について紹介する。
第2部 基本データと政策動向
第5章:ICT分野の基本データ
総務省実施調査である情報通信業基本調査や通信利用動向調査等の結果を中心に、我が国ICT産業の市場規模、雇用者数等の動向、ICTサービスの利用動向を示すデータを幅広く紹介。
第6章:ICT政策の動向
我が国のICT政策の最新動向を、電気通信事業、電波、放送、利活用、研究開発、国際戦略等の分野別に、総務省の取組を中心に紹介。
第1章 令和時代における基盤としての5G
(1)移動通信システムの進展
- 我が国の移動通信システムは、1979年の導入以降、約10年ごとの世代交代を経て、機能は大きく向上し、契約者数は飛躍的に増加。現在では、通信基盤から生活基盤へと進化(①)。
- 我が国で本年から商用開始された5Gは、IoT時代の基盤として、様々な分野・産業で実装されることによって、従来以上の大きな社会的インパクトをもたらすものと期待。
- 2019年4月の米韓を皮切りとして、各国でも相次いで商用開始(②)。
(2)通信市場の構造変化
- IoTデバイス数は、IoT・AIの普及や5Gの商用開始等に伴い、特に産業用途やコンシューマ向けで大きく増加するものと予測(①)。他方、移動体通信サービスの契約数については、飽和状態に近づきつつあり、緩やかに成長していくものと予測される。
- 世界の携帯電話端末市場は、この10年間で市場シェアを有する企業の顔ぶれが大きく変化。スマートフォンの販売台数においても中国企業が台頭して市場シェアを獲得する一方、日本企業のシェアは縮小している(②)。
第2章 5Gがもたらす社会全体のデジタル化(1/2)
(1)課題解決手段としてのICT / (2)2020年代を見据えた取組
- 我が国は課題先進国と称されるように、諸外国に先んじて人口減少・少子高齢化が進んでおり(①)、ICTを導入・利活用することで、雇用や生活の質、労働生産性の向上を積極的に進めて行くことがかねてより求められてきた。
- 2020年代を見据えた5G、キャッシュレス(②)、多言語音声翻訳(③)、顔認証等の新たな技術の導入、テレワークによる働き方の見直し、防災等の取組は、単に我が国のICTをショーケースとして世界に示すチャンスであるだけでなく、日本社会全体を変革するチャンスでもある。
(3)新型コロナウイルス感染症が社会にもたらす影響
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行により、新たな生活様式への移行が求められている。
- 企業におけるテレワークの導入(①)の他、行政とシビックテック、民間企業との連携による人との接触リスクの可視化(②)、学校での遠隔授業、遠隔医療の要件緩和などICTによる対面によらない生活様式への取組が一気に拡大している。
- 一方で、ICTの活用によるトラフィックの増加(③)、セキュリティリスクへの対応不足、電子契約への移行等の業務内容の見直しの必要性、公衆衛生とパーソナルデータ活用のバランス等の課題が顕在化してきており、その解決の取組を推進していく必要がある。
第2章 5Gがもたらす社会全体のデジタル化(2/2)
(4)5Gが促す産業のワイヤレス化
- 5Gの実装が幅広い産業・分野で進むことによって、業務の効率化や新たな付加価値の創出といった効果をもたらすことが期待される(①〜④)。
- 携帯電話事業者による全国向けサービスとは別に、地域や産業の個別のニーズに応じて、様々な主体が柔軟に利用可能な移動通信システムとして、ローカル5Gを創設。本年からローカル5G等を活用した課題解決モデルを構築するための開発実証を推進。
想定される5G のユースケースの主な例
- 企業の5Gへの関心を尋ねたところ、いずれの業種も高い関心を示しているが、特に製造業の関心が高い。また、規模別では、大企業の関心がより高い(①)。
- また、産業用途における5Gとして、我が国と同様、ローカル5Gの制度を創設し、免許手続きを開始している国が存在(②)。
第3章 5G時代を支えるデータ流通とセキュリティ
(1)デジタルデータ活用の現状と課題
- コンテンツの大容量化やIoTデバイスの普及などにより増大しているデータ流通は、5Gの普及により更に加速されると見込まれる(①)。
- IoTデバイスは2015年に比べ、4〜7倍の高い伸びを示している(②)一方、アメリカ及びドイツの企業に比べると、我が国のデジタルデータはさらに活用されることが望まれる(③)。
- 新型コロナウイルス感染症対策でシビックテックを中心としてオープンデータの活用が推進されており、今後、多くの社会課題解決に役立てられることが期待される。
(2)パーソナルデータ活用の今後 / (3)5G時代のサイバーセキュリティ
- 我が国においては情報銀行の認定などの取組が始まったこともあり、パーソナルデータの提供に不安を感じる消費者は2017年に比べ減少している(①)。
- 今後、情報銀行・PDS(②)や匿名加工情報が更に活用されることが期待される。
- 併せて、5Gの普及に伴うリスクやサプライチェーンリスクなど、新たなサイバーセキュリティのリスクに対応することも重要。
第4章 5Gのその先へ
- 2030年代に向けて、既に先進諸国において5Gの次である「Beyond 5G」の取組が始まっている。
- 我が国でも官民が一丸となって国際連携のもとで戦略的に取り組むことが重要であることから、Beyond 5G推進戦略を2020年夏に策定。
- 国際競争力の確保に向けて、我が国が強みを持つ又は積極的に取り組んでいる技術(テラヘルツ波、オール光ネットワーク、量子暗号、センシング、低消費電力半導体等)の研究開発力を重点的に強化。
第5章 ICT分野の基本データ
・情報通信産業の国内生産額
(2018年、名目)
|
99.1兆円 全産業の9.8% |
・情報通信産業の雇用者数
(2018年)
|
404.5万人
全産業の5.7%
|
・実質GDP成長率に対する情報通信産業の寄与率
(2012〜2018年の年平均)
|
40.8%
|
・我が国の情報化投資
(2018年、実質(2011年価格))
|
12.7兆円
民間企業設備投資の14.8%
|
・ICT財・サービスの貿易額
(2018年、名目)
|
輸入12.8兆円
輸出8.7兆円
|
・情報通信産業の研究費
(2018年度)
|
3.9兆円
企業研究費の27.4%
|
・情報通信産業の研究者数
(2018年度)
|
17.6万人
企業研究者の34.8%
|
・通信産業の労働生産性
(2018年度)
|
1,334.7万円
|
・我が国のコンテンツ市場の規模
(2018年)
|
11.9兆円
|
・我が国の放送コンテンツ海外輸出額
(2018年度)
|
519.4億円
|
・固定電話の保有率(世帯)
(2019年)
|
69.0%
|
・スマートフォン保有率(個人)
(2019年)
|
67.6%
|
・インターネット利用率(個人)
(2019年)
|
89.8%
|
・SNS利用状況(個人)
(2019年)
|
69.0%
|
・クラウドサービスの利用状況
(一部でも利用している企業の割合、2019年)
|
64.7%
|
・IoT・AIの導入状況
(導入している割合、2019年)
|
14.1%
|
・固定系ブロードバンドの契約数
(2019年度末)
|
4,120万
|
・移動系通信の契約数
(2019年度末)
|
1億8,661万
|
・我が国におけるインターネットトラフィック
(2019年11月、ダウンロード)
|
12.7 Tbps
|
・放送サービスの加入者数
(2018年度末)
|
8,038.6万件
|
・テレビ(リアルタイム)視聴時間
(2020年1月14日〜19日、平日1日当たり)
|
161分
|
・インターネット利用時間
(2020年1月14日〜19日、平日1日当たり)
|
126分
|