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第2部 基本データと政策動向
第2節 電気通信事業政策の展開

(2)ネットワーク中立性の在り方

インターネットは、誰もがその上で自由に活動できる共通基盤として「オープン性」が確保されてきたことで、社会に対し多大な効果をもたらしており、今や経済活動や国民生活にとって不可欠なものとなっている。近年、コンテンツの大容量化、IoT機器の普及などによるインターネットトラヒックの急増・多様化や、通信に関する様々なビジネスモデルの登場等により、ネットワークをめぐる環境が大きく変化してきている中で、今後もインターネットの「オープン性」が維持されるためには、「通信事業者はインターネット上のトラヒックを公平(無差別)に取り扱う」といういわゆる「ネットワーク中立性(Network Neutrality)」の確保が、非常に重要な意味を持つ。このため、2018年(平成30年)10月から「ネットワーク中立性に関する研究会」を開催し、ネットワーク利用及びコスト負担の公平性や透明性確保の在り方等について検討を行っている。

2019年(平成31年)4月に取りまとめられた同研究会の中間報告書においては、インターネットの利用に関する利用者の権利を明記し、コンテンツ・プラットフォーム事業者を含めた多様な関係者によって尊重・遵守されることの重要性を訴えている。また、具体的事項に対する取組の方向性として、①一部のトラヒックの通信帯域を制限する「帯域制御」、②一部のトラヒックを優先的に取り扱う「優先制御」、③一部のトラヒックを使用データ量にカウントしない「ゼロレーティング」や「スポンサードデータ」についてのルールを整備するとともに、ネットワークの持続的投資の確保や、上記ルールの遵守状況や情報公開を継続的にモニタリングするための体制を整備することが示された。この方針を踏まえ、同研究会の下に「ゼロレーティングサービスに関するルール検討ワーキンググループ」を開催し、電気通信事業者とコンテンツ事業者が適正かつ柔軟に連携してゼロレーティングサービスを提供できる環境を整備する観点から、ルールの策定に向けて、事業者間の公正な競争、費用負担の公平性、利用者に対する適切な情報提供等について検討を行った。同ワーキンググループでの議論を踏まえ、2020年(令和2年)3月に「ゼロレーティングサービスの提供に係る電気通信事業法の適用に関するガイドライン」を策定し、ゼロレーティングサービスを提供する電気通信事業者等の行う行為について、電気通信事業法(昭和59年法律第86号)の関連規定や事例等を示すことなどにより、電気通信事業法の適用関係を明確化した。

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