現在の我が国において重要な政策課題となっている持続可能な地域社会の実現に向けて、5Gをはじめとした携帯電話基地局や光ファイバなどのICTインフラは、地域コミュニティの課題を解決し、地域活性化を図るための基盤としてその重要性がますます高まっている。
我が国におけるICTインフラの整備は着実に進み、ブロードバンドサービスの契約者数は固定・移動ともに大幅に増加し、国民生活や経済活動に不可欠なインフラとして定着してきている。そのような中、2019年4月10日、「第5世代移動通信システム(5G)の導入のための特定基地局の開設計画」認定に際して、総務大臣は5Gの全国サービスを提供する4事業者に対して、2年以内に全都道府県で5Gサービスを開始することを義務づけるとともに、広範かつ着実な全国展開を求める条件を付した(第1章第2節参照)。
しかしながら、各者が提出した計画では、5G基地局の整備数が大きく異なっているほか、計画期間(5年間)のうちに、条件不利地域やトンネル内などの電波遮へいエリアを含め、全国各地を面的にくまなく5G基地局を整備する内容にはなっていない。このため、各者の計画を可能な限り前倒し21するために、5G基地局やそれを支える光ファイバの地方への早期展開を促進する方策を講じる必要が生じた。
以上の問題意識から、総務省では、5GをはじめとするICTインフラ整備支援策と5G利活用促進策を一体的かつ効果的に活用し、ICTインフラをできる限り早期に日本全国に展開するため、2023年度末を視野に入れた「ICTインフラ地域展開マスタープラン」を2019年6月25日に策定した(図表2-4-4-1)。
同マスタープランでは、条件不利地域におけるエリア整備(基地局整備)のほか、5G基地局の前倒し整備、鉄道や道路トンネルにおける電波遮へい対策の推進、ローカル5Gによるエリア展開の加速及び光ファイバ整備の推進について、各施策における目標が設定された。