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第2部 基本データと政策動向
第7節 ICT研究開発の推進

(3)多言語翻訳技術の研究開発及び社会実装の推進

総務省は、2014年に「グローバルコミュニケーション計画」を策定し、NICTの多言語音声翻訳技術によって、世界の「言葉の壁」の解消に努め、グローバルで自由な交流を促進するような取組を推進してきた。

具体的には、NICTにディープラーニング翻訳を導入するためのAI学習用計算機(GPGPU6)等を整備し、翻訳や音声認識の精度向上や対応言語の拡大等に取り組み、2019年度中に12言語7の短文逐次翻訳において実用レベルの翻訳精度を実現している。

また、従来の多言語音声翻訳技術では話者の言語を事前に設定しなければならなかったところ、NICTにおいて相手方言語を自動識別する機能を開発し、2019年10月に同機能を8言語8に対応して実装した。

さらに、NICTが開発した多言語音声翻訳技術を、翻訳サービスを提供する民間企業等がより簡便に利用できるような環境を整備し、社会実装を推進するための「多言語音声翻訳プラットフォーム」を2019年4月に構築した。

これにより、翻訳サービスを提供する民間企業等は自らサーバの構築・運営・管理等が不要となり、サービスの開発や提供に集中することが可能となる。この「多言語音声翻訳プラットフォーム」を活用して、観光(ショッピング)、交通(鉄道、タクシー)、医療、防災などの分野に重点を置いて、翻訳サービスの社会実装を見据えた技術実証を行ってきた。

これらの取組により、 NICTから民間企業への技術移転が進み、民間企業による多種多様な翻訳サービス(端末・アプリ)の製品化・普及につながっている。実際に、NICTの多言語音声翻訳技術を活用した様々なサービスが、旅行業、小売業(百貨店、スーパー、コンビニ、薬局、アパレル等)、飲食業、交通機関、医療機関、金融機関、自治体(窓口対応、防災訓練等)、教育機関(学校・教育委員会)等多くの分野での導入が進んでいる。今後も、多言語翻訳の更なる普及に向けて、地方自治体への導入促進や普及啓発に向けた取組を推進する。

今後2025年に向けては、ビジネス・国際会議における議論・交渉の場面にも対応したビジネス力の強化、政府全体で進める観光戦略や外国人材受入れ政策を背景とした外国人との共生社会の実現 、日本国際博覧会(大阪・関西万博)における日本のプレゼンス向上のため、多言語翻訳技術の飛躍的発展が期待されている。

このため、総務省は、2025年にはAIによる「同時通訳」を実現し、その社会実装を目指すなど、多言語翻訳技術の更なる高度化等に向けて研究開発等を推進すべく、「グローバルコミュニケーション計画2025」を2020年3月に策定した。

図表6-7-2-3 多言語音声翻訳システムの仕組み


6 General-purpose computing on graphics processing units

7 日本語、英語、中国語、韓国語、タイ語、インドネシア語、ベトナム語、ミャンマー語、フランス語、スペイン語、ブラジルポルトガル語、フィリピン語

8 日本語、英語、中国語、韓国語、タイ語、インドネシア語、ベトナム語、 ミャンマー語

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