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第2部 基本データと政策動向
第4節 放送政策の展開

2 放送サービスの高度化

(1)4K・8Kの推進について

ア 4K・8Kとは

現在、放送サービスの高度化の一環として、4K・8K放送を推進している。4Kは現行のハイビジョンに比べて4倍の画素数、8Kは16倍の画素数を有しており、4K・8K放送により、超高精細で立体感と臨場感ある映像を楽しむことが可能となる。さらに、輝度の表現を拡大するHDR(High Dynamic Range imaging)という技術を取り入れることにより、いわゆる白飛びや黒つぶれしていた輝度差の激しいシーンでも大幅に自然な表現が可能となる。日本においては、2018年(平成30年)12月からBS・東経110度CSにおける4K・8K実用放送である「新4K8K衛星放送」が開始された。欧米、アジア等の諸外国においてもDIRECTV(米)やSky UK(英)といった衛星放送事業者やNetflix(米)などネット配信サービス事業者が4Kサービスへの取組を進めており、コンテンツの高精細化が世界の潮流となっている。こうした状況を踏まえ、政府のみならず、放送事業者、受信機メーカー、販売店及びその他関係組織・団体がそれぞれの強みを活かして連携しながら4K・8Kの推進に取り組んでいる。

イ 4K・8K放送に関する取組
(ア)総務省による取組

総務省においては、2014年(平成26年)2月から「4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合」を開催し、同年9月には中間報告を公表した。その後、4Kについては、実用放送等の開始やコンテンツ制作の進展など同報告に沿った取組を着実に推進してきた。さらに、2015年(平成27年)7月に取りまとめられた第二次中間報告において、「4K・8K推進のためのロードマップ」の改定を行った(図表6-4-2-1)。

図表6-4-2-1 4K・8K推進のためのロードマップ

総務省では、ロードマップに沿って、新4K8K衛星放送の開始に向け、2016年度(平成28年度)に放送事業者認定等のための制度整備を実施し、2017年(平成29年)1月、BS・東経110度CSにおいて、NHK、民放キー局系5社を含む11社19番組の認定を行った(図表6-4-2-2)。また、衛星放送用受信設備や4K・8K放送の番組中継装置にかかる技術的条件の検討や伝送路の光化の支援のための補助制度を創設した。

図表6-4-2-2 新4K8K衛星放送を行う事業者
(イ)事業者による取組

これまでに、ロードマップに沿って、2015年(平成27年)からCS(通信衛星を利用した一部のCS放送)やケーブルテレビ等において4K実用放送が開始された。特に、ケーブルテレビにおいては、同年5月に、4K-VOD(Video On Demand)の実用サービスが、同年12月に4K実用放送である「ケーブル4K」が開始されている。この「ケーブル4K」は、ケーブルテレビ業界初の「全国統一編成による4K放送」のコミュニティチャンネルであり、当初39社のサービス提供から始まり、2020年(令和2年)3月1日時点では72社が提供中である。

また、BSにおいては、2016年(平成28年)から4K・8K試験放送が開始され、特に8K試験放送は世界初の試みとして実施された(2018年(平成30年)7月放送終了)。2017年(平成29年)4月には、我が国初の東経110度CS左旋波1による4K試験放送が開始された(2018年(平成30年)10月放送終了)。

そして、4K・8K実用放送の円滑な開始に向け、2017年(平成29年)4月には、総務省と放送業界、機器製造業界及び家電販売業界等の関係団体・事業者が連携し周知・広報等を推進する「4K・8K放送推進連絡協議会」を立ち上げ、「4K・8K放送に関する周知・広報計画(アクションプラン)」を取りまとめ公表した。その具体的な取組の一環として、同年12月1日には、「新4K8K衛星放送開始1年前セレモニー」が開催され、サービス名称やロゴの発表を行うなど、メディアを通じた周知・広報活動を行った。そして、2018年(平成30年)12月には、「新4K8K衛星放送開始セレモニー」が開催され、新4K8K衛星放送が9者17チャンネルで開始された。2019年(令和元年)9月には、新たに1チャンネルが放送開始となったほか、同年11月には「新4K8K衛星放送1周年セレモニー」が開催された。

なお、4K(対応)テレビについては、2020年(令和2年)3月期の出荷台数は約889万台、3月期のテレビ出荷台数に占める割合は51.9%となっている。

また、新4K8K衛星放送では、現行の方式とは異なる新しい伝送方式が採用されており、視聴するためには当該方式の受信が可能な対応受信機(チューナー)等が必要である。さらに、従来の右旋円偏波2の電波に加え、左旋円偏波の電波が用いられることから、受信アンテナの交換が必要になる場合もあり、新4K8K衛星放送を視聴するために必要な対応等について消費者をはじめ多くの方々にわかり易く丁寧に伝えることが引き続き重要である。

東京2020大会が開催される2021年(令和3年)には、全国の多くの方々に4K・8Kの躍動感と迫力のある映像を楽しんでいただけるよう、今後も、総務省や関係団体・事業者が連携し、その魅力や視聴方法等に関する周知・広報等に取り組んでいく。

(ウ)地上放送の高度化に向けた取組

総務省では、4Kや8Kといった超高精細度放送など、地上テレビジョン放送の高度化を実現する上で必要になる要素技術の確立に向けて様々な研究開発に取り組んでいる。

2019年度(令和元年度)からは、これまでの地上テレビジョン放送の高度化に関する研究開発成果を踏まえ、技術基準策定に向けた取組(放送用周波数を有効活用する技術方策に関する調査検討)に着手した。これを受け、地上デジタル放送方式の高度化等に関する技術的条件について、令和元年6月に情報通信審議会に対して新たに諮問を行っており、今般、「次世代地上デジタルテレビジョン方式」について技術的な検討を進めているところである。

令和2年2月には、「地上デジタルテレビジョン方式の高度化の要求条件」を取りまとめており、次世代地上デジタルテレビジョン方式に関する技術の提案募集の結果を踏まえ、今後望ましい高度化方式の検討を行っていく。



1 東経110度CS左旋波:東経110度CSの左旋円偏波のトランスポンダ(中継器)より発射される電波(周波数)

2 右旋円偏波・左旋円偏波:電波の進行方向に対して偏波面が右回りに回転している電波を右旋円偏波、左回りに回転している電波を左旋円偏波という。

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