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第2部 基本データと政策動向
第3節 電波政策の展開

(2)ITSシステムの推進

総務省は、人やモノの安全で快適な移動の実現に向けて、情報通信技術を用いて「人」、「道路」及び「車」などをつなぐITS(Intelligent Transport Systems:高度道路通信システム)により、交通事故削減や渋滞解消等のための取組を進めている。これまで、VICS(Vehicle Information and Communication System: 道路交通情報通信システム)やETC(Electronic Toll Collection System: 自動料金収受システム)、76/79GHz帯車載レーダーシステム、700MHz帯高度道路交通システム等で利用される周波数の割当てや技術基準等の策定を行うとともに、これらシステムの普及促進を図ってきた。

2019年(令和元年)6月にIT戦略本部において策定された「官民ITS構想・ロードマップ20195」では、①2020年(令和2年)の「限定地域での無人自動運転移動サービス(レベル4)」等の実用化に向けた詳細な取組の明確化、②自動運転の社会実装に向けた持続可能なビジネスモデルの確立に向けた検討、③急速に進展するMaaSに自動運転を取り込んだ将来像の提示等を行っている(図表6-3-2-6)。

図表6-3-2-6 2025年完全自動運転を見据えた市場化・サービス実現のシナリオ
(出典)高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部・官民データ活用推進戦略会議「官民ITS構想・ロードマップ2019」より抜粋

また、本構想・ロードマップではITS・自動運転の共通基盤として、情報通信インフラの高度化を掲げている。具体的には、リアルタイムかつ多量のデータ転送、交換が必要となることが見込まれる中で、従来のITS用周波数だけではなく、世界的にLTEや5Gを活用した自動運転システムの実現に向けた研究・実証が行われていることを踏まえ、自動運転、コネクテッドカーのニーズ等に対応すべく、5Gを含む情報通信インフラの整備を進めていくことが必要としている。

こうしたことを踏まえ、総務省では、5Gの普及・展開に向けた取組を進めているほか、5GHz帯に新たにV2X6用通信を導入する場合に必要となる周波数共用等の技術的検討を進めており、自動運転社会の実現に向けて取り組んでいる。

また、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第1期「自動走行システム」においても、総務省は、省庁横断の取組として、公道での実証を通じ、車車間・路車間・歩車間通信による車や歩行者に関する先読み情報や、インフラレーダーで収集する交差点等における周辺状況の情報等を組み合わせ、適切にダイナミック・マップに反映させること等を目指し、ICTを活用した高度な自動走行システムを実現するための事業を実施した。

さらに、SIP第2期「自動運転(システムとサービスの拡張)」では、一般道の交通インフラからの信号情報や高速道路への合流支援情報等を活用した、インフラ協調型の自動運転技術により、安全で快適な自動運転社会の実現を目指しています。東京臨海部において、国内外の自動車メーカー、自動車部品メーカー、大学等計28機関の参加を得て、2019年(令和元年)10月から実証実験を順次開始している。また、SIP第2期における総務省の主な取組として、安心・安全な自動運転の実現に向け、周辺の交通状況を俯瞰的に把握できるようにするため、様々な情報源から得られる動的情報を収集しリアルタイムな交通状況として統合し、必要な範囲の情報を自動運転車両側に配信する技術の研究開発を行っている。



5 官民ITS構想・ロードマップ2019:
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/kettei/pdf/20190607/siryou9.pdfPDF

6 Vehicle to everything:車とモノとの通信の総称

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